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看護師がやさしく教える 介護と子育てのダブルケア⑤仕事を続けるために
ダブルケアとは介護と育児が同時進行している状態のことです。 ダブルケアと仕事の両立は身体的・精神的につらく、離職を選択される方も少なくありません。しかし離職し…
これまで5回の記事で「ダブルケアとは何か?」についてお伝えしてきました。
今回の記事ではダブルケアラーの内面について、さらに制度のすき間を埋めるようなサポートもお伝えしていきます。
この記事の目次
ダブルケアラーの悲鳴
100人いれば100通りのダブルケア
年齢、家族構成、住んでいる場所、仕事、預金額、通っている学校・保育園、友人、ご近所さん、病気、必要な介護、これまで経験したことなど1人1人違います。
そのため「これが正解」という一律的なケアや対応はありません。
しかし中には「正しいケア」や「正しい対応」を探して、自分を責める方もいらっしゃいます。
コミュニティや当事者会に参加して、ダブルケアの仲間を探してみるのも良いと思います。
当事者であれば共感出来るような思いや悩みはたくさんあると思います。
自分自身のケアのことを話し、他の人のケアについて聞いていくと「100人いれば100通りのケアや思いがある」ということに気づかれるのではないでしょうか。
良かったら参加してみてください。
相談出来ない、頼れない
「こんなことに悩んでいるって言ったら周りに変って思われるかもしれない」
「私よりも、もっと大変な人がいる」
と相談したり、頼ったりすることに対して躊躇いを感じている方はとても多いです。
相談がないということは周りからは困りごとが表面化しないため、支援につながりにくいです。
ダブルケアは介護と子育てが同時進行している状態で、とても大変な時期です。
遠慮せずに周り相談し、頼っても大丈夫です。
分かりにくい行政窓口
2023年8月時点でダブルケアの相談窓口を設置しているのは大阪府堺市だけです。
堺市ではダブルケアの相談窓口設置に加え、
・認定こども園、保育所などの利用への配慮
・特別養護老人ホームの入所基準の緩和
・緊急の家族支援策としてのショートステイ事業の利用日数を延長
というような支援策が設けられています。
ほとんどの行政は介護、子育ての窓口は別々に設置されており自治体によって対応は様々であるため、対応に大きな差があります。
何も分からないまま窓口へ行くと、タイミングによっては門前払いされることもあります。
なかには窓口をたらい回しにされることも心身ともに疲れてしまいます。
それでも諦めずに困っていることやダブルケアの状況などを詳しく窓口の職員へ伝えてください。職員は状況が分かってくることで対応をしてくれるようになります。諦めないことが大切です。
自分自身をケア出来ない
介護、子育てをしながら仕事もしていると圧倒的に時間がありません。
人によっては何日も徹夜するなど眠る時間もほとんどないという方もいます。
ダブルケアラーの方は他の人のケアに意識が向きすぎて、自分自身の身体に意識を向けることが出来ずに限界までがんばってしまいます。
過労で倒れてしまったり、ダブルケアラー自身も病気になってしまうこともあります。
まずは使える制度を利用して、ケアの負担を軽くしていくことが大切です。
そしてご自身に合ったセルフケアの方法を探して、自分自身を労わってあげてください。
制度の隙間をうめるサポート
コミュニティに入る
コミュニティに参加してダブルケアの仲間を探してみるのをおすすめします。
悩みを話すだけでも気は楽になれます。
また制度、サービスについての情報交換が出来る場でもあります。
自分自身で調べるよりも体験者から聞く方がより多くの情報を得ることが出来ます。
エッコロ共済
エッコロ共済とは生活クラブが運営している制度のすき間を埋めてくれるようなサポートです。
「困ったときはお互いさま!」が合言葉です。
制度内容はそれぞれの生活クラブによって異なります。
山梨、静岡、青森、ふくしま、福祉クラブ、滋賀では2023年8月時点では行っていません。
具体的に東京都の生活クラブのエッコロ共済を見ていきましょう。
①困ったことを手伝うケア
庭の水遣り、ごみだし、ペットの世話、鍵の預かり、留守番、引っ越しの手伝い、粗大ごみや重いものの移動、着物の着付けの手伝いなどをお願い出来ます。
②子どもを預かるケア(送迎を含む)
子どもの預かりと送迎をお願い出来ます。
③加入者、または家族の入院・在宅療養時のケア
通院・入院時の付き添い、簡単な家事(掃除・洗濯・買い物・食事の準備など)、家族の見守り等をお願い出来ます。
基本的に介護など専門的なことはお願い出来ません。
介護保険サービス、子どもの一時預かり等のものではなくちょっとしたお願いことが出来るサービスです。
ナース家政婦
看護師が家政婦としてサポートするサービスです。
一般的な家事支援サービスから、子育て支援、産前産後サポート、外出・受診サポート、入院中の付き添い、介護支援、健康相談、メンタルサポート、お看取りサポートなど幅広く対応することが出来ます。
基本的にナース家政婦は医療行為を行えません。
しかし場合によっては経管栄養、吸引、創傷処置、褥瘡処置、与薬、酸素のオンオフ、インシュリンなどご家族が在宅で行えるような医療行為を行うことが出来ます。
必要な場合は契約の際に確認してください。
ナース家政婦が提供するサービスの中でおすすめなのが「受診同行」です。
介護保険内のサービスでも通院介護がありますが使い勝手が良くありません。
通院介護が出来ることは病院へ行くまでの支度、病院までの移動、移動時に発生する乗り降りの介助、受診の手続き、処方薬の受け取りなどです。
病院内では原則、病院スタッフが介助するため待ち時間、診察は介護保険内のサービスを利用出来ません。
待ち時間、診察室内での医師とのやり取りに介助が必要であれば訪問介護か訪問看護の自費サービスを利用する必要があります。
看護師が受診サポートする場合、介護保険内のサービスに加え、サポート中の体調確認や急変時の対応が出来ます。
診察中も医師とのやり取りをサポートします。
医師が診察中に話していたことを分かりやすくご本人やご家族にお伝えすることが出来ますし、お薬の説明もすることも可能です。
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まとめ
心身ともに疲弊しきる前に公的な制度や自費サービスなどを最大限に活用してみてください。
そして誰かに相談することを遠慮せず、1人で抱え込まないでくださいね。
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この記事を書いた人
山本みどり
【プロフィール】
看護師経験。大学病院のNICU(新生児集中治療室)で勤務後、精神科、訪問看護を経験。
現在は小児発達ケア専門訪問看護ステーションで発達障がいと診断された子どもやそのご家族へ小児発達ケアを行っている。発達ケアを通して、子どもとご家族が安心して過ごせるように支援をしている。
食から身体のことを整えたいと思い、プライベートでは中医学・薬膳を学んでいる。
【経歴】
看護師/Webライター
看護師歴6年 NICU、精神科、訪問看護(成人・精神特化・小児発達ケア)
家政婦やベビーシッターとしても働いている