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①加齢による「目」の変化とつきあい方

加齢による「目」の変化とつきあい方

普段の何気ない行動をきっかけにからだの衰えを感じませんか?

私も近視のコンタクトレンズでは近くの字が見えづらくなったり、テレビを見る時の音量が以前より大きくなったり、ポテトチップスの袋が開けづらくなってきました。

そのような時、私は「年を取ったなぁ」と残念に思いました。ただ、職場の先輩が同じような話をしていたことを思い出しました。「あぁ、これが先輩から聞いたからだの変化か!」と少し笑って前向きに変化を受け止められるようになりました。

人のからだは加齢によって衰えていきます。しかし、長い人生で培われた知識や経験を活かして、自分のからだと長く上手に付き合える方法を新たに身につけることができます。

「からだの変化がなぜ起こるのか」を知り、少しでも自分のからだの変化に前向きな気持ちで付き合っていくことができればと思い、「加齢による五感の変化とつきあい方」を全5回のシリーズでお届けします。

第1回目は、加齢による「」の変化とつきあい方 です。

人は生活の80%以上の情報を「」から得ているため、見えづらくなると生活のさまざまな場面に影響が出てきます。

加齢による「」の変化を知り、人生を豊かに過ごすために労わってみませんか。

メガネ
この記事の目次

1. 加齢による「目」の変化

1) 色の見え方が変わる

日常生活の中で起こる事故で、ガスコンロの炎が見えなくてやけどをする事故が報告されています。

なぜこのようなことが起こるのでしょうか?

赤色や橙色系の色は加齢による影響が少ないと言われています。一方、青色系の色は加齢による影響を受け、見えにくくなります。

 先ほどの事故の話ですが、ガスコンロの炎の先端は青色のため、見えなくてやけどをしてしまうことが起こってしまいます。

正常な見え方、高齢者の見え方

「水連」の絵で有名なオスカー・クロード・モネの作品を年代順に見ると、加齢による色の見え方の変化が分かると言われています。80代の頃になると青系の色と黒の区別がつかず、青系の色を使っていなかったそうです。

白内障の手術を受けた後、「左の白内障眼で見ると、すべてが黄色に見えるのに、手術した右目で見るとすべてが青っぽく見える」と話したと言われています。

また、段差につまづいたり、標示を見落としたりすることはありませんか。

少し暗い階段の一番下の段が影のように見えて、境目が分かりにくく階段を踏み外したり、トイレの便座と床の色の区別がつかなくて便座に座り損ねたりして、転んでしまったと聞いたことがあります。

これは、足の上がり具合が悪くなっているだけが原因ではありません。

色のコントラストの違いが判別しづらくなることも原因なのです。
加齢により青色系の色は見えにくくなるため、青色と紫色、青色と緑色、黄色と白色の識別が難しくなります。

判別しづらい色、判別しやすい色

2) 視野が狭くなる

高齢者福祉施設で仕事をしていた時、まぶたが目もとまで下がってものが見えづらいため、絆創膏をまぶたに貼って持ち上げている方がいらっしゃいました。

加齢により、まぶたの筋肉も弱ってきます。筋肉の衰えに加えて、重力も影響し、まぶたがたるんできます。
これを眼瞼下垂(がんけんかすい)と言います。

この眼瞼下垂によって、見えにくい、目が開きにくく、視野が狭くなってきます。

眼瞼下垂

また、背が丸まって顔が下向きになり前方や頭上の物が見えづらくなることで、高い場所にある表示を見落とす可能性があります。

2. 「目」と長くつきあうために

老視や目の病気でものが見えにくくなると、生活の質を下げるだけでなく、脳の働きの低下にもつながります。日常生活の中で、「目」によいことを取り入れてみませんか。

1) 定期検診を受ける

加齢による変化に加え、病気の影響を考えると、老視が見られるようになる40歳を過ぎたら、年2回程度は定期検診を受けることをおすすめします。

公益社団法人日本眼科医会も目の病気の早期発見に有効な眼底検査の実施普及に力を入れています。

2) 場所と作業の種類ごとに照明を変えてみる

見えやすくするためには、明るさが必要です。

高齢者と推奨照度」という論文にあるアンケート調査では、住まいの中で明かりがもっとほしいと感じる場所は、廊下・階段、居間、浴室、行為ではテレビを見る、化粧、読書という回答結果があります。

若い世代の方も一緒に住んでいる場合、高齢者の照度に合わせてしまうと眩しすぎると感じてしまいます。調光機能のついた照明なら、家族みんなで快適に生活できるでしょう。

それから、目が疲れないように、テレビを見る、化粧、読書の時はデスクライトなどで手元を照らす、補助照明を利用して、明るさを補うとよいかと思います。

《高齢者用推奨照度(住宅)》

場所・行為推奨照度
(ルクス)
JIS照度基準
居間 全般
 手芸、裁縫
 読書、化粧
100
1,000
750
30~75
750~2,000
300~750
食堂、台所 全般
 食卓、調理台、流し台
150
300
30~75
150~300
浴室、脱衣室 全般
 ひげそり、化粧、洗面
150
500
75~150
200~500
廊下、階段 全般7530~75
《参考》高齢者と推奨照度(高齢者用推奨照度(住宅)表3)

3) 目に優しい食事をとる

バランスのよい食生活を心がけることはもちろん、目の健康維持に必要とされる栄養素を含む食材をしっかり摂りましょう。

おススメの食材

成分食材
アントシアニン
(ポリフェノールの1種)
ベリー類(ブルーベリー等)
ルテインほうれん草などの緑黄色野菜
不飽和脂肪酸のDHA
(ドコサヘキサエン酸)
青魚やまぐろ、かつお等

4) 目を休ませる

スマートフォンやパソコンを見る、読書するなどを1時間続けたら10分間休憩するなど、こまめに目を休ませる時間を持ちましょう。

少しの時間でもまぶたを閉じて光を遮ったり、まばたきをゆっくりと繰り返して目のストレッチを行ったりするのもよいでしょう。

また、睡眠は目の疲労回復に重要です。1日6~7時間は、しっかりと睡眠をとって目の疲れをとりましょう。

目隠し

3. まとめ

年齢を重ねることで、「」にもいろいろな変化が起こります。

少しずつ変化が起こるため、かなり進行した状態でないと自覚症状に気づかない可能性もあります。進行した視覚異常は治療を行っても回復することは難しいです。

自分の「」のことを知っていれば、変化があった時にすぐに治療を開始することができます。

目の健康を保つために、年2回の定期検診・生活習慣を整えることを取り入れていただけるとうれしいです。


この記事を書いた人

看護師:山田かおり 経歴〉 看護師経験 32年(内分泌代謝・循環器内科病棟、外科混合病棟、高齢者施設で勤務) 看護教員養成研修 修了  認定看護師教育課程(認知症看護) 修了  医療安全管理者養成研修 修了  認定看護管理者制度 ファーストレベル・セカンドレベル教育課程 修了 〈講座〉  認知症ケアに関する講座 多数  未来をつくるkaigoカフェ 「つづけるカフェ」隔月開催(現在休止中)

看護師:山田かおり

〈経歴〉

看護師経験 32年
 (内分泌代謝・循環器内科病棟、外科混合病棟、高齢者施設で勤務)
 看護教員養成研修 修了
 認定看護師教育課程(認知症看護) 修了
 医療安全管理者養成研修 修了
 認定看護管理者制度 ファーストレベル・セカンドレベル教育課程 修了

〈講座〉
 認知症ケアに関する講座 多数
 未来をつくるkaigoカフェ 「つづけるカフェ」隔月開催(現在休止中)

〈プロフィール〉

親に勧められ、自分が希望する心理学への道をあきらめ、看護学校に入学し、病院に就職する。周りの同期のように看護が楽しいと感じられず、私のしたいこととは違うと思い続け、「看護師は向いていない」と悩みながら3年間 病院で勤務後、退職する。事務職に転職しようと、パソコンや簿記を学ぶが、25歳では事務職への転職は難しく、生活のために看護師に復帰する。

復帰後はマンネリ化した機能別業務に、再度「看護師は向いていない」と感じる日々が続いていた頃、関連病院で病床数増床のため看護師を募集していることを知り、心機一転すれば看護の楽しさがわかるのではと思い、異動を希望し、上京する。上京した病院で、自宅で最期を迎えたいと希望する患者や家族への退院指導の難しさと充実感を知り、新人教育担当として新人看護師が日々成長していく姿に励まされ、5S活動やQCサークル活動を通じて業務改善に手ごたえを感じるなど、看護師を続けたいと思えるようになった。それからは、自分の興味の赴くままに学びを深め、特に認知症に関する知識・技術を身につけ、「その人の行動の意味することは何か、生活歴を通して気づく看護の楽しさ」を伝えたいと思うようになった。

 現在は、「看護が楽しい」と感じる仲間を増やしたくて、看護学校で看護教員をしている。

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