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看護師監修 介護側の食事指導②食べやすい食事の形態

おいしく、安全に食事をするためには、ひとりひとりの食べる能力にあった食事の形態を工夫することが必要です。

「食事を作っても飲み込むに時間がかかる」

「最近、食べる量が減ってきた」

「食事のあとに疲れているみたいだ」

このようなお悩みはないでしょうか。

加齢による消化機能の低下で、食べる量が減ってくることはありますが、原因のひとつとして、現在食べている食事の形と身体の状態が合っていない場合があります。

今回は、食べやすい食事のかたちとその特徴についてお伝えしていきます。

介護側の食事指導②食べやすい形態
この記事の目次

はじめに

食べるためには、ふだんどんな動作をしているでしょう。
食事するときは、食べる動作をするだけでもたくさんの動きをしています。
同時に食事以外でも、さまざまな動きを並行して行っています。

食事の一連の動作

わたしたちは食べ物を食べるとき、以下のような一連の動作を行っています。

①食べ物を見て認識する。食べていいものかどうかの判断を行う。
②食べ物を口に入れて、噛みながらひとまとめにする
③食べ物を舌や頬を使って、のどに送り込む準備をする
④食べ物をのどに送り込む(飲み込む)
⑤食べ物が食道を通って胃に入る。

この5つの動作を食事のときに繰り返し行っています。

介護側の食事指導②食べやすい形態

   

①先行期

食べ物を見て認識する。食べていいものかどうかの判断を行う。

介護側の食事指導②食べやすい形態

   

②準備期

食べ物をよく噛んで、飲み込みやすくする。
食べ物をひとまとめにする。

介護側の食事指導②食べやすい形態

   

③口腔期

食べ物を舌や頬を使って、のどに送り込む準備をする

介護側の食事指導②食べやすい形態

   

④咽頭期

食べ物をのどに送り込む(飲み込む)
のどを通って食道へ送られる

介護側の食事指導②食べやすい形態

   

④食道期

食べ物を食道から胃に送る。

食事中はすることがいっぱい

食べながら行う、代表的な動きをあげてみました。

食べながら複雑な動作も無意識に行っています。

①食べながら呼吸をする

呼吸は、生命を維持するため食事中でも行っています。
食べ物が、口に中にある時も呼吸をしています。
飲み込むときは一瞬、呼吸を止めますが飲み込んだら、すぐに再開します。

②食べながら会話をする

食事はコミュニケーションの場です。
食べながら会話をすることも多いと思います。
自身が話さなくても、相手が話に「うんうん」と相槌を打つこともあるでしょう。
食べ物を飲みこみ、言葉を発する。
体では、飲み込むという動作のあとに、発声をするという動作の切り替えが行われています。

③食べながら考え事をする

わたしたちは、自分自身と常に会話をしています。
誰かと話をするときも、相手の話の内容を理解したり、自分が話す内容を組み立てたりしています。
食事の時も「おいしい」「おいしくない」「このあと何をしよう」といった会話を自分の頭に中で行っています。
もし、一緒に食事をする相手がいたら、相手の話を聞きながら内容を理解して、自分の意見をまとめるために考えています。

④食べながら周囲を見る

食べるときは、目で見て食べ物を確認します。
食べ物を確認するほかに、周囲を見たりします。

たとえば、

・テレビを見ながら食べる
・携帯電話の画面を見ながら食べる
・景色を眺めながら食べる

こともあります。

⑤食べながら身体を動かす

食事をするためには、手を動かして食べ物を口に運んでくる必要があります。
そのほか、食べ物が口に入ったら噛んだり、舌を使ったりします。
食事を続けるために、姿勢を調整する必要もあります。

以上のようにただ、食べているだけでなく身体のさまざまな機能を同時に使って食事をしています。

介護側の食事指導②食べやすい形態

食事の流れが障害されたとき

加齢や後遺症で、食べにくくなる・飲み込みにくくなると何が起こるでしょう。
食べにくくなるということは、口の中に入った食べ物をまとめることが難しくなります。
一方、飲み込みにくくなるということは、食べ物の空気の通り道である、気管に入りやすくなります。

食べ物が、気管に入りやすくなることを誤嚥といいます。

誤嚥することが多くなると、食べ物が肺に入って肺炎を引き起こす原因となります。
そのため、誤嚥したら咳をして食べ物を気管から出します。

咳をするだけでも、身体はカロリーを消費します。
咳は、肺炎を防ぐための正常な反応ですが、咳によってカロリーが消費することはあまり知られていません。
実際には、1回の咳で、2Kcalのエネルギーを必要とします。

たった2Kcalと思うかも知れませんが、誤嚥による咳は1回では済みません。
気管に入った食べ物が、気管から出るまで咳は続きます。
食べ物が出た後も、気管の粘膜に刺激が残っているため、刺激が落ち着くまでは咳は続きます。

例えば、食事の時にむせて咳をして落ち着くまでに10回せき込んだとします。
10回せき込んだら、20Kcalのカロリーが消費されます。

そのときだけの咳こみならば、20Kcalの消費だけで済みますが、食べるたびに咳こむとなると、食事が終わるまでに少なくても食べた量の1/4のカロリーはせき込みで消費されるといわれます。

食事のたびに咳こまないように意識して食べたり、飲み込んだりすると食事をするだけで疲れてしまいその結果、食欲が低下していきます。

健康体の時は、意識しなくても食事をすることができます。

加齢や病気の後遺症があっても咳こむことなく、その人の状態に合った食事の形や柔らかさを工夫する必要があります。

介護側の食事指導②食べやすい形態

食事の形態について

加齢や病気の後遺症の状態や程度によって、提供する食事の形や柔らかさは違ってきます。

一般的な食事形態の種類についてまとめてみました。

軟飯(なんはん)・軟菜(なんさい)食

対象となる人噛む力が弱い人
特徴通常の食事よりも柔らかい。噛んだら口の中で簡単にばらける。
メリット食材がやわらかく咀嚼(噛む・まとめる)しやすい。
デメリット軟らかくしているため、歯ごたえがなく食感があまりない。
介護側の食事指導②食べやすい形態
軟飯(なんはん)・軟菜(なんさい)食

きざみ食

対象となる人噛む力が弱い人
特徴普通の食事をかみ切りやすく刻んでいる。
メリット噛み砕く負担がない。
デメリット口の中でバラバラになやすい。飲み込むのに時間がかかるため、誤嚥につながる可能性がある。
介護側の食事指導②食べやすい形態
きざみ食

ソフト食、やわらか食

対象となる人噛み砕く力が弱く、食べ物を歯ですりつぶす力は弱いが押しつぶす力、飲み込む力がある人。
特徴食材の形があり歯茎や舌で押しつぶせる。食材から水分が出て分離しない状態
メリット咀嚼の負担が少ない。
デメリット柔らかいため食材の歯ごたえがない。
介護側の食事指導②食べやすい形態
ソフト食、やわらか食

ミキサー食

対象となる人舌を使って食事を口の中でまとめる力・飲み込む力がある人。
特徴水分を含んでいる。とろみが加わって飲み込みやすい。柔らかい粒状を含む。
メリット噛まなくてもいい。飲み込みやすい。
デメリット食材に水分を多く含むため誤嚥に注意が必要。見た目に工夫が必要。
介護側の食事指導②食べやすい形態
ミキサー食

ペースト食

対象となる人飲み込む力がある人。
特徴水分が少ない。粒がなくなめらか。まとまりやすい状態。
メリット噛まなくても飲み込める。
デメリット見た目に工夫が必要。
介護側の食事指導②食べやすい形態
ペースト食

ムース食・ゼリー食

対象となる人飲み込む力に重度の障害がある人。
特徴粒がなくて均等。プリンやムースのように口に入れる前に塊ができている。
メリット口に中でつぶさなくてもいい。喉越しがよく飲み込みやすい。
デメリット形がないため見た目の食材がわからない。
介護側の食事指導②食べやすい形態
ムース食・ゼリー食

在宅でつくる介護食のポイント

食事形態の調整が必要になったとき、自宅でつくるとなるとどうしたらいいのかと、悩む方も多いのではないでしょうか。

刻んだり、柔らかくしたりする必要はありますが、ご家族と同じ食材を使っても大丈夫です。調理器具も特殊なものを使う必要はありません。

ミキサーや料理用のはさみがあれば十分に介護食は作れます。

また、手作りばかりでなく市販の介護食も最近ではスーパーに売っているお店もあります。
仕事で忙しい日や出かける日などは市販の食事を取り入れることで時間の短縮となり自分やご家族との時間に充てることができます。

食品メーカーの介護食や配食サービスを使うことで食事の変化が楽しむのもいいかもしれません。
そういったサービスのメニューを参考に今後の食事に出してみてはいかがでしょうか。

おわりに

高齢者の食事は、食べたり飲み込んだりする能力に合わせながら調整することが必要です。

ここで気を付けたいのは、食べにくそう・飲み込みにくそうといった理由で、食べやすくするために細かくしたり、やわらかくしたりすることは、かえって食べる機能を弱めてしまう可能性があります。

噛めるものはゆっくり噛んで飲み込むことで、口腔機能の低下を防ぐことができます。

それでも、噛みにくそう・飲み込みにくそうであれば、今、作っている食事の形態が合っていない可能性があるため変える必要があります。

また、ちょっとした体調の変化や風邪をひいたときは飲み込みが悪くなったように感じます。

一時的な体調の変化は、体調が良くなれば戻ると思いますがその判断は難しいと思います。

もし判断に困ったときは、かかりつけの訪問看護や、訪問診療や、ケアマネージャーへお気軽にご相談くださいね。


この記事を書いた人

看護師:渡邉加代子

渡邉 加代子

【プロフィール】

看護師歴24年目。
これまで急性期(整形外科・外科・脳外科・内科・循環器)病棟での勤務を経験。
2016年に現在の職場に転職し、回復期リハビリテーション病棟は配属となる。
2019年から栄養サポートチームに所属し、各専門職と協力して週1回、入院患者様の栄養ケアを行っている。
今後は、退院先での適切な栄養ケアが継続できるようにパンフレットの作成や地域高齢者を抱えるご家族への栄養相談や講座の開催を考えている。

【所属】

一般社団法人 日本ナースオーブ所属 ウェルネスナース

【執筆】

食と健康について考えるブログ/note

【講座】

Wellnessチャートで賢くやせる/ウェルネス講座

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