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看護師がわかりやすく解説!高齢者の皮膚トラブル③高齢者の皮膚疾患治療について
前回は高齢者に多い皮膚科疾患についてお伝えしました。 今回はその皮膚疾患の治療についてお話したいと思います。 【1.高齢者に多い皮膚疾患の治療】 (1)老人性皮…
皮膚疾患は、夏や冬に患者が増える傾向があります。
特に高齢者の方は、皮膚が弱く乾燥しやすいので症状が悪くなることも多いです。
今回は皮膚科を受診するにあたり診察がより的確にスムーズにするために、皮膚科受診時のポイントをお話します。
この記事の目次
1.皮膚科受診時のポイント
(1)症状や状態のメモを取る
受診前に以下をメモしておくと、診察時に詳しく伝えることができます。
どのような症状があるか
いつから現れたか
帰宅した後に受診の時に症状を伝え忘れた、今までの経過や出来事で現在出ている症状と関係があるかわからないけど伝えるの忘れていた、などの漏れは減るかと思います。
また、過去に受けた治療や使用している薬の情報もメモにまとめておくと役立ちます。
皮膚科医師が聞きたい主なこと
- いつから?(突然?それとも徐々?)
- 体のどこに?(省かないで全て伝える)
- 痒い・痛い?いずれでもない?
- 皮疹はずっとありますか?出たり消えたりしますか?
- 皮疹が全身にあれば朝と夜の熱を測りましょう。
- 治療はされましたか?使用した薬を教えてください。
- 他の病気で治療をされていれば、ご病名とお薬を全て教えて下さい。
- ご家族のアトピー歴(喘息、アレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎)とトラブルをおこしたお薬の名前。
(2)症状や皮膚の変化の写真を撮る
症状や皮膚の変化は、時間とともに変わることがよくあります。
受診前に経過の写真を撮っておくことで、受診までの経過を漏れなく伝えることができます。
写真は、症状の進行や治療の効果を追跡する際にも役立ちます。症状を言葉だけで説明するのは大変難しいため、症状の出ているときの写真が役に立ちます。
症状をつたえることは医師同士でも、100%伝えることは厳しいといわれます。
写真を使用することで症状の詳細や特徴を的確に共有でき、より正確な診断を行い適切な治療を提案されます。
(3)お薬手帳を持参する
皮膚科受診時には、現在使用している薬の情報を伝える必要があります。
医師は、これらの情報を考慮して診断や治療計画を立てることができます。
また、薬の影響で皮膚症状が出ている場合もあるので、いつから飲んでいるのか、何を飲んでいるのかがわかるお薬手帳を必ず持参して受診しましょう。
また、サプリメントなども飲んでいる場合は医師に伝えてください。
お互いしっかり情報共有できて診察に役立つと思われます。
(4)脱ぎやすい服装で来院する
皮膚症状を広範囲に観察することで、正確な診断につながります。
医師が患部を観察しやすいよう、脱ぎやすい服装で受診しましょう。
また、陰部など診察されることに抵抗がある部位もあるかと思います。
特に女性は、陰部や乳房など男性医師の診察を拒否される方もいらっしゃいます。
個人病院であれば医師の人数も限られるため、女性医師の希望も出来るかと思いますが、大きな病院だと女性医師を希望されても難しい場合が多いです。
診察に抵抗がある方は、女性の医師か男性の医師か確認の上、受診するようにしましょう。
(5)その他気を付けるポイント
①水虫(白癬)
水虫は女性も罹患するのですが、恥ずかしがって皮膚科を受診せずに、市販薬で治そうとされる傾向にあります。
市販薬を一度でも使用すると、検査で正しい結果を出すために一度、肌の状態をリセットしなければならず、2~3週間ほど治療に入るのが遅れます。
「水虫かな?」と思ったら、自己判断で市販薬を塗らずにすぐ受診するようにしましょう。
特に水虫は、治るのに時間がかかることが多いため3ヵ月から半年は薬を塗り続けたほうが良いでしょう。
②医院の処方薬はピンポイントでその皮膚病に作用する、主成分しか入っていません。
一方、市販薬はどんな人でもある程度の薬効が得られるよう、さまざまな成分を含有させています。
例えば、市販薬では早くかゆみを抑えるための局所麻酔薬の成分なども入っていますが、人によってかぶれを起こすことがあります。
本当は湿疹なのに水虫薬を使ってしまうなど、誤用による症状悪化のケースもあります。
原因を特定し、その皮膚病に適した薬剤を処方する皮膚科を受診するようにしましょう。
③ステロイドなどの処方された薬を数日使用すると、見た目に変化が出てきます。
しかし、皮膚の深部はまだ治癒しておらず、見かけだけで自己判断して薬の塗布をやめてしまうと再び症状が出てくることもあります。
治癒までだいたい1週間はかかるものですから、用法どおりに塗り続けましょう。
皮膚科では、だいたい初診から1~2週間後に再び受診し、きちんと薬効が出ているか?
副作用はないか?などをみて、必要があれば薬の種類や強さを変えるなど微調整します。
そのため、再診はとても重要です。
炎症・ひっかき行動を抑える薬として、現在のところステロイドにかなう薬はないと考えられています。
ずっと塗り続けると赤ら顔になる・皮膚が薄くなるなどの副作用もありますが、まずはステロイドを処方し、様子を見て毎日塗っていたものを週1~2回に減らし、同時に免疫抑制剤の軟膏や保湿剤を併用するという治療をすることが多いようです。
自己判断で治療をやめてしまうのではなく、きちんと医師と相談して治療をするようにしましょう。
④「前出た皮疹と同じなので同じ薬ください」はやめましょう。
同じ皮疹かどうかは診ないとわかりません。
また、「長く使っている薬や化粧品は大丈夫」とは限りません。
長く使う結果、感作(免疫系が覚える事)され、カブレや薬疹が生じることもあります。
⑤皮膚科で行われる血液検査は補助的なものです。皮膚病の多くは医師が見て診断し、血液検査だけで診断することはありません。
以上が気を付けるポイントです。
まずは医師のお話をしっかりと聞いて相談し、根気よく治療を続けるようにしましょう。
2.まとめ
皮膚科では病歴(どういった自覚症状があったのか、どういった臨床経過を辿ったのか)が大事です。
患者さんの中には、
「昨日はもっと赤くてプツプツしていた感じで、今日来てみたら少し落ち着いたみたいであまり目立たない」
「前医でこう言われたけど、全然良くならない。悪くなってきているので来てしまいました」
などとお話しされることがあります。
ただ、どうしても診察の時の一時点でしか見た目での皮膚症状の確認はできず、自宅でどういった経過だったのか、前医で診察された時はどういった見た目だったのかなどはわからないことが多いです。
皮膚病の完治に必要なのは、自己判断ではなくまず受診することです。
治療中に患者さんが自己判断して薬をやめてしまい、皮膚病を長引かせてしまうケースもあります。
表面で治っているように見えても、実は皮膚の深層部ではまだ炎症が続いていることも多いそうです。
かゆみや発疹など自覚できる症状が出たら、できるだけ早く皮膚科を受診しましょう。
特に高齢者の方は自覚症状が出にくい場合もありますので、普段からの観察も大事です。
着替えや入浴の際などは皮膚症状を観察するようにしましょう。
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この記事を書いた人
全国訪問ボランティアナースの会キャンナス弘前(青森)代表。
看護師歴6年。(内科病棟)
結婚後は一時退職し、自分に出来る看護はなにかあるのだろうか、と模索していた時にキャンナスの存在を知り、キャンナス弘前を立ち上げる。
その後、様々な診療科(婦人科、皮膚科、特別養護老人ホーム、訪問入浴など)の経験の傍ら、看護学生や介護士の実習や演習、授業などの講師業などにも従事。
フリーランス看護師として様々な働き方にチャレンジ中。