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医師の説明を聞かれる際、一度この記事を読んでいただけたらと思います。
なんらかの治療を受けられる前に必ず医師から説明を聞かれる場面があります。
現在の病態・今後の治療方法や方針・期待される効果・副作用などです。
そして、聞かれる方にとっては程度の差こそあれ、不安なお気持ちを感じておられるでしょう。
医師からの説明を受ける前に準備をしていれば、そのお気持ちを少しでも軽減することができます。
この記事の目次
がん患者さんの悩みについて
各治療段階で共通した悩み
・共通した悩み
アフラック生命保険が20〜70歳代のがん患者1,000人に「がん患者の悩み・不安に関する実態調査の結果について」というアンケート調査を2022年に行っています。
がん治療の段階
各治療段階で共通する悩み(20〜30%)
- 漠然とした悩み
- 痛み、副作用のつらさ
- 再発・転移に対する不安
- 生死に関する不安
悩みの種類
がんを体験される方の悩みをもっと大きなカテゴリーに分類するとどうでしょう?
静岡がんセンターが2003年と2013年にがん体験者に全国実態調査をしています。
最新の2013年の調査では4054名の方に調査をされています。
大きな4つの悩み
診療 | 治療や検査の内容、これからの治療方針など ※医療者との関係性も含む |
身体 | これから行う検査や治療、病態による症状・副作用・後遺症 |
心 | がんとわかったときの衝撃や動揺、不安 これからの生き方や自分との向き合い方、価値観の変化など |
暮らし | 仕事や役割の変化、職場・家族との人間関係の変化による悩み ※金銭的悩みも入る |
医療費のサポート体制については、次の記事でお伝えする予定にしています。
今回の記事では、医師から話を聞く時に不安に感じられる「診療」「身体」「心」に関する悩みを少しでも軽くするための心構え、準備についてお伝えします。
心に関する心構え
心を落ち着かせる大切さ
先に治療・身体に関する心構えからお伝えしようと思いましたが、その前段階として心を落ち着かせる心構えを書いていきます。
内面が整っていなければ、どれだけ丁寧な医師の説明があっても、受け入れが不十分であったり、理解できなかったり、といった結果になるからです。
できるだけ誰かと話を聞く
医師からの話を聞く時は、ご家族や親しい方と一緒にお話しを聞かれることをお勧めします。
誰かに同席してもらうだけでも、かなり緊張が緩和されます。医師から話を聞く時は誰しもが緊張され、時には話の内容を覚えていないということもよくあります。
付き添いの方に聞いていただき、メモをお願いしておくのもいいでしょう。
がんの告知や治療に関する話はある程度日程を調整できる猶予があることが多いです。
というのも、緊急で発見されるというより、健康診断や他疾患の検査での発見の割合が多いからです。
- がん健診・健康診断などによりがんが発見された方はがん患者さんの13.9%
- 他のご病気の治療中もしくは外来でかかりつけでの経過でうけた検査によって発見される方が30%以上
- 残りは自覚症状が出てから受診し発見された人など
国立がん研究センターがん情報サービス「院内がん登録全国集計」(2020年)
そこから精密検査を行い医師の説明になりますので、ある程度時間があります。
その間に一緒にお話しを聞いてくれる方にお声をかけておくのがよいでしょう。
ご家族様や親しい人がおられない時に使えるサービス
お一人暮らしやご家族がおられても遠くに住んでおられるご家族様も多いと思います。
その場合は自費で受診付き添いを提供しているサービスがあります。
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私も時々ご依頼を頂き、ご家族様が付き添えない方の受診に同行させていただくことがあります。
看護師なので医師の説明は理解できますので、ご本人様、ご家族様へわかりやすい言葉でお伝えしています。
深呼吸の重要性
深呼吸も効果的です。
呼吸することで体内の細胞に栄養を取り込み活性化してくれるのです。
1回の呼吸で取り込む酸素量は理想体重×6という計算式があります。
体重50kgの方なら50×6=300ml程の酸素が1回で取り込めればまず理想です。
人は不安や衝撃を受けていると呼吸は実はとても弱くなっているか、数秒でも止まっています。その間細胞に必要な酸素は取り込まれていないのです。
酸素はもちろん呼吸だけではなく、肺や心臓によって全身に運ばれます。
意識して動かせるのは呼吸です。
心臓などの臓器は私たちが無意識の状態、つまり何かに集中していたり、寝ている時でも動いてくれています。
医師のお話しを聞く前は、意識して深呼吸をされてみてください。
治療、身体に関する対策
情報について
不安に感じる時はどういう時でしょう?
現代社会はインターネットにより情報過多で何が正しいか間違っているのかわからない状況というデメリット部分があります。
アフラック生命保険が行った「がん患者の悩み・不安に関する実態調査の結果について」でがん患者の約6割の方が正しい情報にたどり着けないという現状があります。
がん患者の役9割の方が「自分に合う情報にたどり着けることでがんに関する不安は軽減できる」という結果がでています。
前回の記事でお伝えした「がんに対する情報」に正しい情報の取り方についてお伝えしていますので、詳しくはその記事を読んでもらえればと思いますが、
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SNSなどの特定できない方の発信ではなく、がん拠点病院などのサイトに掲載されている記事など、出どころが特定されている情報を参考にすることをお勧めします。
メモをとる大切さ
内閣府による世論調査では、がんに対して怖いというイメージを約7割の方がお持ちです。
何を聞くべきかよくわからない時は、まずはメモを取る準備をすることをお勧めします。
もしくは、医師に確認し録音でもよいでしょう。
落ち着いていると感じていても案外何も覚えていないということもあります。
医師は検査の同意書や説明されたことを書いてくださる先生もいます。
しかし要点をまとめて書いている場合がほとんどなので、細かなニュアンスが伝わりにくい時があります。
私自身も看護師で母のがん告知を受けた時、ある程度予測はついていましたが、それでも頭が真っ白になりました。
今までの知識があるので話の内容は理解できましたが、それでも医師が言っていることが耳に入ってこない状況でした。
病状説明に看護師として入院されている患者様の同席をさせてもらった時も後でご不明点など確認させていただくと、「何をいっているのかよくわからなかった」とおっしゃられる方が結構おられます。
その時はわからなくとも、メモだけでもしておくと後で考えを整理する時に役立つでしょう。
わからないことはその場で確認する
医師はなるべく患者様にわかりやすく専門用語を使わないようにはされていますが、やはり時々は出てくることがあります。
更に緊張されているので、聞き取れないこともあるでしょう。
医療用語やよく理解できない時は、その時に聞くことをお勧めします。
ご自身の知らない言葉はメモしようにも聞き取れずメモできない時があります。
すぐに決断をしなくていい
医師は次回どんな検査をするか、治療をどうしていくのか、予定を立てられます。
患者様、ご家族様の中には、今すぐ決断しなければならない、と考えておられる方がおられます。
緊急性があり、なるべく早い段階で手術や抗がん剤治療などが必要な場合は別ですが、もし、医師が提示する検査や治療を迷われた場合は、一旦持ち帰って落ち着いて考えてみる、もしくはご家族様と相談されるのも1つの手段です。
がん支援相談窓口
全国のがん拠点病院に「がん相談支援センター」が設置されています。
がんに関する相談窓口です。どなたでも無料で、しかも匿名で利用できるところです。
そこではがん治療に詳しい看護師や生活全般の相談ができるソーシャルワーカーが在中しています。
多方面からの情報を聞かれるのも良いでしょう。
まとめ
この記事ではがん告知に関する悩みの種類から医師より病状説明を聞く際の心構え、準備をお伝えしました。
悩みは大きく「診療」「身体」「心」「暮らし」に分けられ、今回の記事は、「診療」「身体」「心」にスポットをあて、悩みに応じた心構え方法をお伝えしました。
これらの心構えをするだけでも、不安の軽減に繋がります。
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この記事を書いた人
山川幸江
<プロフィール>
病棟勤務14年。手術や抗がん剤治療など癌治療を受けられる多くの癌患者様に関わる。ICU配属中に、実母が肺癌ステージ4と告知を受ける。在宅での療養生活を見越し、訪問看護へ転職。同時期に事業所管理者となり、母の療養生活を支える。訪問看護でも、自宅療養の癌患者様に多く関わる。ダブルワークで働く中、母の在宅看取りを経験。自身の経験から癌患者様、介護中のご家族様が安心できる療養生活を過ごせるよう、介護空間コーディネーターとして、複数メディアで記事執筆、講座を行う。
<経歴>
看護師経験16年(消化器・乳腺外科、呼吸器・循環器内科・ICU/訪問看護・管理者)
自費訪問 ひかりハートケア登録ナース
(一社)日本ナースオーブ ウェルネスナース
<執筆・講座>
株式会社キタイエ様
「暮らしの中の安心サポーター“ナース家政婦さん”」
「ほっよかった。受診付き添いに安心を提供。”受診のともちゃん”」他
「がんで余命半年の親を看取った看護師の経験/ウェルネス講座」
「退院前から介護利用までの50のチェックリスト/note」