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看護師が体験した熱海土石流災害⑤土地柄について

災害が起きた時に、どこが危険な場所なのか?どこに避難したらいいのか?などを平時から考えて、住んでいる地域の土地柄を知っておくことは大切なことです。

土地柄とは?
その土地に特有の風習、人々の気風(習慣、文化、考え方など)という意味になります。

住んでいる地域の土地柄を知っておくと、いざ災害が起こった時に慌てずに命を守る行動ができます今回は土地柄についてお伝えしたいと思います。

この記事の目次

1.住んでいる場所の土地柄を知ることが命を守る行動に繋がる

(1)自分の住んでいる地域の土地柄を調べてみる

生まれ育った土地や、その後のライフスタイルの変化により、住んできた土地の雰囲気や、習慣、文化、考え方、食べ物、その土地の人がなにを大切にして生活しているかなどに特徴が出てくるかと思います。

例えば、新しい土地に引っ越しをした時や、旅行に行った時に「朗らかな人が多いな」「山や海が見えて落ち着く」「伝統工芸の職人さんが多い街」など、土地柄を感じることがあるのではないでしょうか。

私の住む静岡県熱海市の土地柄の特徴は、江戸時代に徳川家康公も江戸に運ばせていたと言われる温泉が有名です。今では少なくなりましたが温泉が出る公衆浴場も多く、その場所は、人が集うコミュニティの場となっていました。

観光業が盛んで、昭和40年代後半頃には、地方から、旅館やホテルで働くためにたくさんの人が熱海に移り住みました。

また、先祖から受け継いできた土地を守り伝統や文化を大切に近隣住民と支え合いながら生活されている人、代々継承してきた商売を守り発展させてきた人、就職などで一度熱海を離れ戻ってきた人、都心にも比較的通勤しやすいため週末移住や定住を選んだ人など、いろんな境遇の人がいても受け入れる、おもてなしの心がある土地柄です。

熱海市の街並み
熱海市の街並み

(2)自分の住んでいる町内会、防災倉庫を知る

熱海で週末移住を開始した時、定住は考えていなかったので、住居のある場所が多少不便でも気になりませんでした。夫が現在の仕事を起業し定住することになった時、住居の集合住宅には定住者が少なく、情報収集をする場に困りました。

その時に住居のある地区に町内会がある事を知り、防災倉庫のある公民館の掃除、会合で顔見知りの人が増えてきました。

防災倉庫を町内会の皆さんと掃除をすることは、物品の破損の有無、不足物品などの把握はもちろん、近隣の方のお身体の状況や困っていることなど情報交換ができる良い機会になります。
今となっては大切なコミュニティの場であると実感します。

町内会、自治体
防災倉庫、防災備蓄倉庫

(3)自宅から避難所までのルートを知り、通行止めになった場合を想定してみる

私の所属する町内会では、災害時、この地区ではどのように動くか?という話は常に出ます。

それは、このエリアから指定避難所となっている小学校は山の上のほうに位置し、約3kmあります。また、国道の片側は山の斜面が続き、大雨等で土砂崩れが発生すると通行止めとなり、避難所までは行けません。

そのため、安全確保ができる状態であれば、基本は自宅で待機をしましょうという話になっています。

今、住んでいる地域の土地柄を知り、地域の人と繋がっていくことは、災害が発生した時に助け合えるので、一度、調べてみると安心に繋がります。

防災マップ、ハザードマップ

(4)過去にどんな災害があったかを知る

その土地で今までどんな災害があったか、どんな被害があったかなどを知ることは、いつ起きるかわからない災害への心の準備になると思います。

熱海市での大きな災害としては、昭和25年4月の夕方5時過ぎに起きた熱海大火です。

たばこに火をつけたマッチの燃えさしを捨てたことから火災が発生し、強風も重なり、飛び火して、あっという間に火は燃え広がり、市役所や警察署・消防署・病院などを含む熱海市の中心部の4分の1が壊滅しました。

友人に聞いた話だと、この時代「〇〇のおばあちゃんはこの時間はお店にいる」など、近隣の人々が把握していることが多く、早めの避難により、死者は出なかったとのことです。

この過去の災害からも、地域の人との繋がり、顔の見える関係というのは大切であると思います。

災害について家族で話し合う、調べる

2.地域の防災訓練に参加してみる

住まれている地域で防災訓練は少なくとも年に1回は開催されているのではないでしょうか?規模によりますが、消化器の扱い方、段ボールベッドの作り方、炊き出し、災害発生後から避難所に避難してきた方のトリアージなど、さまざまな防災訓練があります。

各地域の役所のホームページや広報紙などを調べて、参加してはいかがでしょう。
訓練で学んだことはいざ災害が起きた時に役立ちます。

防災・避難訓練

3.災害が起こったときのことを想像して準備をしてみる

私は、熱海で土石流災害を経験し、最低限、自分は何が無いと困るかを考えると眼鏡です。
日中は1dayのコンタクトレンズを入れて生活していますが夜は眼鏡にしています。

土石流災害が起きる数年前に防災の講座に参加した後から眼鏡は常に持ち歩こうとカバンに入れていましたので土石流災害後、自宅に1ヶ月帰れなくても眼鏡を掛けて仕事ができていました。

自分にとって無くては困るもの、例えば、お薬は、必要ですね。
いざという時のために数日分はポーチなどに入れておくと良いかと思います。

非常持ち出し袋
防災グッズ、水、救急箱、印鑑、通帳、お金、懐中電灯、防災ラジオ、非常食、衣類、軍手

4.まとめ

熱海土石流災害を経験し、災害後は、町内会での定期的な集まりや防災訓練の参加は、顔の見える関係となれる大切なコミュニティの場であると実感しています。

いつ起こるかわからない災害について考えるのは不安かもしれません。土地柄を知り、地域と繋がりを多く持つことで、いざという時に落ち着いて命を守る行動をとることができ、被害が大きくなるのを防ぐことができます。



この記事を書いた人

河瀨愛美 大学病院やがん専門病院、老人ホーム、派遣ナースなど、さまざまな分野で約18年、看護師の経験を積む。2013年、夫婦で静岡県熱海市に移住し、福祉限定タクシー・訪問介護事業、患者等搬送事業を開業。普通二種免許を取得しナースドライバーも行う。2015年、全国訪問ボランティアナースの会 81か所目となる「キャンナス熱海」を発会し、「デキルことをデキル範囲で」をモットーに本業と組み合わせながら、家族介護支援や旅行時のサポートなどで活動中。 <経歴> 看護師経験18年。 大学病院(外科、耳鼻科、泌尿器科、皮膚科等)、がん専門病院(消化器外科、呼吸器外科、婦人科、乳腺科)、地域密着病院(病棟、外来)、医療療養型病院(難病や脳血管疾患、呼吸器装着しておられる方など)、老人ホーム、派遣ナース(巡回入浴、デイサービス、在宅看護、イベント救護など)で18年間の臨床経験を積む。 <資格> 看護師/普通二種免許/医療的ケア教員講習会修了者/防災危機管理者/静岡県女性防災リーダー修了者 <活動> ブログ「熱海 看護師もいる介護タクシー伊豆おはなのブログ」 <執筆> 看護のベンチャービジネスを創る挑戦者たち,第5回看護×旅行,旅行をサポートし生きる力を引き出すナースドライバー,メジカルフレンド社,看護展望2022-5,p70~p74

河瀨愛美

大学病院やがん専門病院、老人ホーム、派遣ナースなど、さまざまな分野で約18年、看護師の経験を積む。2013年、夫婦で静岡県熱海市に移住し、福祉限定タクシー・訪問介護事業、患者等搬送事業を開業。

普通二種免許を取得しナースドライバーも行う。

2015年、全国訪問ボランティアナースの会 81か所目となる「キャンナス熱海」を発会し、「デキルことをデキル範囲で」をモットーに本業と組み合わせながら、家族介護支援や旅行時のサポートなどで活動中。 

<経歴>
看護師経験18年。

大学病院(外科、耳鼻科、泌尿器科、皮膚科等)、がん専門病院(消化器外科、呼吸器外科、婦人科、乳腺科)、地域密着病院(病棟、外来)、医療療養型病院(難病や脳血管疾患、呼吸器装着しておられる方など)、老人ホーム、派遣ナース(巡回入浴、デイサービス、在宅看護、イベント救護など)で18年間の臨床経験を積む。

<資格>
看護師/普通二種免許/医療的ケア教員講習会修了者/防災危機管理者/静岡県女性防災リーダー修了者

<活動>
ブログ「熱海 看護師もいる介護タクシー伊豆おはなのブログ」
<執筆>

看護のベンチャービジネスを創る挑戦者たち,第5回看護×旅行,旅行をサポートし生きる力を引き出すナースドライバー,メジカルフレンド社,看護展望2022-5,p70~p74

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