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ポリファーマシーはなぜ起こる?気づいたら薬が増えている理由

若い頃は、薬を飲むとしても、風邪をひいた時や痛みがある時など、一時的なことが多いかもしれません。ところが年齢を重ねると、気づけば薬袋がいくつもあるという方も少なくありません。薬の数や種類が多くなり、飲み間違いや副作用、生活上の負担につながりやすくなっている状態を「ポリファーマシー」といいます。

ただし、薬が多いこと自体が、すべて悪いわけではありません。病気の状態によっては、複数の薬が必要なこともあります。大切なのは、「なぜ薬が増えているのか」「今も必要な薬なのか」「体や生活の負担になっていないか」を、時々確認することです。この記事では薬がなぜ少しずつ増えていくのか、その理由を一緒に整理していきます。

この記事の目次

1. 病気や症状に合わせて薬が追加される

薬が増える一番の理由は、病気や症状に合わせて薬が処方されるためです。年齢を重ねると複数の病気や症状を抱えることがあります。それぞれの病気に対して必要な薬が処方されるため、結果として薬が増えていくのは自然な流れでもあります。

また、痛みが強い時だけ使う予定だった痛み止め、便秘が続いた時に出された下剤、眠れない時に処方された睡眠薬など症状が出た時に薬が出されることもあります。その時の症状を和らげるためには必要な薬ですが、症状が落ち着いた後も、次の受診でもそのまま継続され、いつの間にか「いつもの薬」になっていることもあります。

薬は、始めた時には理由がありますが、体調がよくなった後のやめるタイミングは見逃されやすいものです。

そのため、一時的に出された薬で症状が落ち着いている場合は、「この薬は今も必要かな」「いつまで飲む薬だろう」「症状が落ち着いていても続けるものなのかな」と、医師に確認することも必要です。

2. 複数の受診や入退院で薬が増えることがある

薬が増えるもう一つの理由は、複数の医療機関にかかっていることが挙げられます。それぞれの医療機関では必要な薬が処方されています。しかし、いくつもの病院や診療科から薬が出されると、「全部で何種類飲んでいるのか」「同じような薬が重なっていないか」がわかりづらくなります。

また、入院や退院をきっかけに薬が増えることもあります。入院中は、その時の体調に合わせて、感染症の薬、痛み止め、胃薬、便秘薬、睡眠薬など一時的が追加されることがあります。しかし、退院後もそれらの薬をすべて続ける必要があるとは限りません。退院後は、食事量、活動量、睡眠、トイレの状況など、入院中とは生活スタイルが変わります。そのため、入院中に必要だった薬が、退院後の生活にも同じように必要とは限らないため、見直すことも考えましょう。

さらに、薬の副作用に対して、別の薬が追加されることもあります。たとえば、ある薬を飲み始めて便秘になり、その便秘を解消するために下剤が追加されることがあります。胃の不快感が出て胃薬が追加されることもあります。薬の影響で眠気やふらつきが出ているのに、それを年齢のせいや体力低下と考えて、さらに別の薬が追加されることもあります。

このように、薬によって起きた症状に対して、また別の薬で対応し、薬が増えていくことがあります。

3. 薬が増えたときに確認したいこと・困りごとの対策

薬が増えると、体の問題だけでなく、生活の中の困りごとも増えます。飲む時間や回数が複雑になり、飲み忘れや飲み間違いが起こりやすくなります。また、体調の変化が薬の影響なのか、病気によるものなのかがわかりにくくなることもあります。

■お薬手帳の活用

まず大切なのは、今使っている薬を確認することです。そのために役立つのが『お薬手帳』です。お薬手帳は、単なる薬の記録ではありません。複数の病院や薬局で出された薬を一つにまとめ、医師や薬剤師に伝えるための大切な手帳です。お薬手帳が病院ごと、薬局ごとに分かれていると、薬全体の確認がしにくくなります。できるだけ一冊にまとめ、受診時や薬局に行くときには必ず持っていくようにしましょう。

■飲み方を見直す

薬が増えると、飲み方の管理も難しくなります。朝食後に飲む薬、昼食後に飲む薬、夕食後に飲む薬、寝る前に飲む薬、週1回だけ飲む薬、症状があるときだけ飲む薬など、飲む時間や回数が分かれると、どうしても間違いやすくなります。

「朝の薬は飲んだけれど、昼の薬を忘れてしまった」

「寝る前の薬を、間違えて夕食後に飲んでしまった」

「週1回の薬を飲み忘れた」

「痛いときだけ飲むはずの頓服薬を、毎日飲んでいた」

このような飲み忘れや飲み間違いは、薬の数や種類が増えたり、薬の飲み方が生活スタイルに合っていなかったりすると起こりやすくなります。「間違った自分が悪い」と考えるのではなく、飲み方が複雑になっていないかを見直すことが大切です。

■処方薬以外の薬の管理

市販薬、漢方薬、サプリメント、健康食品を使っている場合も、必ず医師や薬剤師に伝えましょう。「病院でもらった薬ではないから関係ない」と思うかもしれませんが、市販薬やサプリメントも、処方薬との飲み合わせに関係することがあります。

さらに薬が多くなると、今起きている体調の変化が、薬の副作用なのか、病気による変化なのかがわかりにくくなります。ふらつき、眠気、食欲低下、便秘、下痢、めまい、むくみなどがある場合、薬と関係していることもあります。

■整理をお願いする

もし、「薬が増えて管理しづらい」「飲み忘れがある」「体調がすっきりしない」と感じたときは、今使っている薬をすべてまとめて、お薬手帳と一緒に持参し、受診時や薬局で相談しましょう。飲み薬だけでなく、目薬、貼り薬、塗り薬、吸入薬、頓服薬、以前もらって残っている薬なども含めて確認すると、薬全体を見直しやすくなります。

相談するときは、次のように伝えると、困っていることが伝わりやすくなります。

「薬の種類が多く、どうしても飲み忘れることがあります」

「昼の薬を忘れやすいです」

「寝る前の薬を飲むと、朝ふらつきます」

「この薬は何のための薬か知りたいです」

「いろいろな病院から薬を出してもらっているので、一度薬全体を見直してほしいです」

「市販薬やサプリメントも使っていますが、飲み合わせは大丈夫ですか」

ポリファーマシー対策というと、「薬を減らせばよい」と考えてしまう方もいます。しかし、目的は単に薬を減らすことではありません。体を守るために本当に必要な薬は、これからもきちんと続ける必要があります。

血圧の薬、糖尿病の薬、心臓の薬、血液をサラサラにする薬、てんかんの薬などは、自己判断で急にやめると危険な場合があります。薬を減らしたいと思っても、自分だけの判断で中止せず、必ず医師や薬剤師に相談しましょう。

大切なのは、医師や薬剤師と一緒に、今の自分の体と生活にその薬が合っているかを確認することです。

薬を減らすというより、今の自分に合わせて薬を安全に整えることが、安心して毎日を過ごすことにつながります。

4. まとめ

①年齢を重ねると、複数の病気や症状を抱えることで薬が増えることがありますが、一時的に出された薬が止め時を見逃していないか確認することが大切です。

②複数の医療機関への受診、入院や退院、市販薬やサプリメントの使用によって、どれだけ薬を飲んでいるか把握しづらくなるため、お薬手帳を一冊にまとめて、受診の時には必ず医師に見せましょう。

③薬が多くなると飲み間違いや思わぬ副作用、生活上の負担につながることがあるため、自己判断で中止せず、医師や薬剤師と一緒に安全で続けやすい形に整えていきましょう。

この記事を書いた人

看護師:山田かおり 経歴〉 看護師経験 32年(内分泌代謝・循環器内科病棟、外科混合病棟、高齢者施設で勤務) 看護教員養成研修 修了  認定看護師教育課程(認知症看護) 修了  医療安全管理者養成研修 修了  認定看護管理者制度 ファーストレベル・セカンドレベル教育課程 修了 〈講座〉  認知症ケアに関する講座 多数  未来をつくるkaigoカフェ 「つづけるカフェ」隔月開催(現在休止中)

ヤマダ カオリ

〈プロフィール〉
親に勧められ、自分が希望する心理学への道をあきらめ、看護学校に入学し、病院に就職する。周りの同期のように看護が楽しいと感じられず、私のしたいこととは違うと思い続け、「看護師は向いていない」と悩みながら3年間 病院で勤務後、退職する。事務職に転職しようとパソコンや簿記を学ぶが、25歳では事務職への転職は難しく、生活のために看護師に復帰する。

復帰後はマンネリ化した機能別業務に、再度「看護師は向いていない」と感じる日々が続いていた頃、関連病院で病床数増床のため看護師を募集していることを知り、心機一転すれば看護の楽しさがわかるのではと思い、異動を希望し、上京する。上京した病院で、自宅で最期を迎えたいと希望する患者や家族への退院指導の難しさと充実感を知り、新人教育担当として新人看護師が日々成長していく姿に励まされ、5S活動やQCサークル活動を通じて業務改善に手ごたえを感じるなど、看護師を続けたいと思えるようになった。それからは、自分の興味の赴くままに学びを深め、特に認知症に関する知識や技術を身につけ、「その人の行動の意味することは何か、生活歴を通して気づく看護の楽しさ」を伝えたいと思うようになった。
現在は、「看護が楽しい」と感じる仲間を増やしたくて、看護学校で看護教員をしている。

〈経歴〉
看護師経験 32年(内分泌代謝・循環器内科病棟、外科混合病棟、高齢者施設で勤務)
看護教員養成研修 修了
認定看護師教育課程(認知症看護) 修了
医療安全管理者養成研修 修了
認定看護管理者制度 ファーストレベル・セカンドレベル教育課程 修了

〈講座〉
認知症ケアに関する講座 多数
未来をつくるkaigoカフェ 「つづけるカフェ」隔月開催(現在休止中)

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