病気や怪我などお身体に異変があった時、ご自身でどのような対処をされていますか?
ご自身で対処法がわかり解決できれば問題ありませんが、どうしたらいいのか判断がつかず不安になった経験があるかもしれません。
近くに相談できる家族や友人・知人がいれば相談することができますが、それでも判断がつかない状況は少なくないと思います。
病気や怪我につては身体のプロフェッショナル、つまり医療従事者に相談したいところです。
そんな時、医療従事者と相談できるところは皆様ありますでしょうか?
今回のコラムでは、医療従事者に相談できるところを3つご紹介致します。
この記事の目次
1. 相談できるところ① かかりつけ医
健康面について相談できる医療の専門家は、皆様の身近にいらっしゃいますか?
初めに紹介するのはかかりつけ医です。
厚生労働省はどの世代もかかりつけ医を持つことを推奨しています。
確かに医師は医療の専門家のトップになるので、直接相談できると安心感がありますよね。
かかりつけ医とは何か、かかりつけ医をもつメリットをお伝えいたします。
(1)かかりつけ医とは
かかりつけ医、という言葉は聞いたことがありますか?
わたしは祖母から「かかりつけの先生」の話をよく聞きます。
祖母の場合、持病の定期受診以外にも調子が悪いときやワクチンを摂取するときなど、気軽に診療にいくクリニックの先生を指しています。
祖父が存命の時は、祖父がお酒を飲みすぎていることや、なかなか運動をしないことを相談していました。
祖母から祖父に注意するより、かかりつけ医から祖父に伝える方が素直に聞いてくれていました。祖父が亡くなった後、祖母の体調をいつも以上に気遣っていたのも、そのかかりつけの先生でした。
日本医師会では「かかりつけ医」の定義をしています。
かかりつけ医の定義
- 健康に関することを何でも相談できる
- 必要な時は専門の医師・医療機関を紹介してくれる
- 身近で頼りになる医師
急な体調不良や不慮の事故以外でも、健康に関することも相談できる医師がかかりつけ医なのです。
(2)かかりつけ医をもつメリット
- 日頃の状態を把握してもらいやすい
-
健康診断や予防接種など、体調に特に問題ない時に顔を合わせるため、日頃の状態を把握する機会があります。
日頃の状態がわかると些細な体調の変化に気付けるため、早期発見が可能になります。
- 体調の変化が起こった際にどうすればいいのか相談できる
-
診察を受けることで、症状の原因や治療法についてアドバイスを受けることができます。
病院によっては即日の検査も可能ですので、早期治療が可能になります。
もし特殊な検査で大きな病院に受診が必要な場合でも紹介状を作成していただけます。
- 家族の健康についても相談がしやすい
-
家庭環境、家族の嗜好などの情報は健康相談においてとても重要です。
ひとりの医師が家族全員を診ることで生活背景を把握できるため、アドバイスする際に活かすことができます。
かかりつけ医がいない方、健康診断や予防接種などでの受診を機にかかりつけ医を探してみるのはいかがでしょうか?
2. 相談できるところ② #7119
#7119という電話番号を聞いたことはありますか?
町中にポスターが貼ってあったり、テレビやyoutubeで特集を組まれていたり、少しずつ広がってきています。
もしかしたら、このコラムをお読みになられている方でご利用したことがある方もいらっしゃるでしょうか。
#7119のメリット・デメリットについてご紹介させていただきます。
(1) #7119とは
医師、看護師、相談員がお話を伺い、アドバイスを受けることができる電話相談窓口です。
総務省消防庁が管轄しており、2007年9月から発足し始めました。
特に需要がある都市圏を中心に設置されています。
#7119を導入した自治体のアンケートによると、利用者の約9割が役になったと感じているという結果が出ています。
利用者は20代から60代以上の方と幅広い年齢層の方が利用されています。
(2) #7119のメリット
- 症状の緊急性について相談できる
-
救急車をすぐに呼んだ方がいいのか、これから病院に行った方がよいかなどの判断の相談ができます。
すぐに受診すべき状況であれば医療機関の案内を受けることができます。
また、すぐの受診ではなく様子見ができる場合にも、受診タイミングや応急処置のアドバイスをしてもらえます。
- 救急要請の適正利用に担うことができる
-
現在、救急要請の出動件数は増加傾向にあり、今後も増えていくと見込まれています。
救急車は限られており、出動件数が増えると現場に到着するまでに要する時間も伸びてしまいます。
#7119で相談することで、症状の緊急性について助言してもらえるので、救急要請すべきかどうか客観的に考えることができます。
(3) #7119のデメリット
- #7119を導入している地域は限られていること
-
#7119は東京から始まり、都市圏を中心に少しずつ普及されてきています。
全国普及している最中であるため、お住まいの地域によっては利用できないところもあります。
- #7119を導入している地域によって対象年齢や利用時間が異なる
-
対象年齢は概ね15歳以上としている地域があります。
15歳未満は厚生労働省管轄のこども医療でんわ相談の#8000があり、そちらで相談可能です。
利用時間は24時間365日の地域もあれば、夜間のみ対応している地域もあります。
- 電話相談なので一般的な相談のみの対応となる
-
現在治療中の治療方針、薬の使用可否や飲み合わせ、介護・健康・育児・精神科等に関する相談を受けることができません。
また、実際に症状を見て判断している訳ではなく、電話での相談なので状況の判断には限界があります。
#7119以外の番号で救急電話相談等を行っている地域もあります。
他にも、健康保険組合や生命保険など加入している方を対象に健康相談窓口がある場合もあります。
是非、身近に電話相談窓口があるかどうかお調べしてみてはいかがでしょうか?
3. 相談できるところ③ オンライン診療
オンライン診療という受診方法をご存知でしょうか?
新型コロナウイルス感染症の流行をきっかけに広がってきました。
インターネットで調べると、オンライン診療のサービスを受け付けているサイトが増えてきています。
こちらではオンライン診療とは何か。またオンライン診療のメリット・デメリットについてお伝えいたします。
(1)オンライン診療とは
医療機関や薬局に行かずに、自宅等でスマートフォンやパソコン等を用いて、予約・問診・診察・処方・決済を行う診察・診療方法です。
以前は一度受診したことがある医療機関が、再診の方限定で受け付けていることもありました。
さらに以前は、医師と患者が対面でなければ診察行為は認められませんでした。
現在はオンライン診療の制度や指針などが整ってきました。
新型コロナウイルス感染症を機に需要が高まり、広がってきている状況です。
(2)オンライン診療のメリット
最大の特徴は、インターネット環境があれば場所を選ばずにどこでも受診できることです。
オンライン診療のメリット
- 24時間いつでもどこでも予約ができる
- 通院不要のため地理的な制約がなく、交通費も発生しない
- 診察までの待ち時間は自宅で療養できるため、病院の診察室で待つよりも身体的・精神的負担が軽減
- 他の患者と会わないため二次感染が予防できる
(3)オンライン診療のデメリット
- オンライン診療には対応に限界がある
-
オンライン診療では実際の処置や検査を受けることができません。
診断には血液検査、レントゲン検査が必要な場合があります。
スマートフォンやパソコンのカメラの精度は上がってきているとはいえ、画面越しでは疾患の特定が難しい場合があります。
そのため、症状によって対面の診療と使い分ける必要があります。
- スマートフォンやパソコンの操作が必要
-
操作が苦手だと、対面診療よりも負担になってしまう場合があります。
操作を代行してもらえる人、教えてくれる人に協力が必要になります。
安定したインターネット環境が整っていることも必須になります。
4.まとめ
今回のコラムでは、以下の3点についてご紹介いたしました。
それぞれのメリット・デメリットを考慮し、使い分けていただければと思います。
人は相談することで、安心感を得られます。
一人よりも二人、素人判断より専門家の判断の方がより確実な対応が可能です。
急な体調不良や不慮の事故などで相談したい場合の選択肢としていただければ幸いです。
【参考】
・厚生労働省 上手な医療のかかりかた.jp
・総務省消防庁 救急安心センター事業
・厚生労働省 オンライン診療
・#7119の導入効果 報告書
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この記事を書いた人
冨永美紀
母親の入院で関わった看護師に心を打たれ、看護師資格を取得。
看護師の現場で、臨場の場に立ち会うことで『生死』について興味が沸く。
恩師の紹介でお寺とのご縁が結ばれ、2020年から密教塾生となり修行の世界へ。
現在は仕事と修行を両立するため岐阜県へ移住し、夫と犬2匹と自然豊かな場所で暮らす。
<経歴>
看護師歴10年
・腎臓内科、糖尿病内科、内分泌科病棟
・救急救命センター
・自由診療のクリニック
・コールセンター
・訪問看護ステーション
・家事代行業