- あなたがさっきした〘おしっこの色〙は何色でしたか?
- 毎日、何回おしっこをしますか?
- 1回に出るおしっこの量は、どれくらいか知っていますか?
- 腎臓の働きは『おしっこ』が教えてくれる!
おしっこは腎臓のバロメーター
腎臓っていったい何?
知りたい事。知っておきたい事、あなたの体で起こっていることをわかりやすくお伝えします。
この記事の目次
1.毎日しているおしっこって何?
(1)正常なおしっことは?
当たり前すぎて考えたことがなかったおしっこ。
腎臓が悪いなどの病気が無い場合、ほとんどの人は生まれてから毎日おしっこをしています。
おしっこの正常な状態(例)
- 薄い黄色
- 1回に約200㎖前後
- 1日に約1500㎖程度 最低でも500㎖
- 1日の回数は3~9回
- 濁りが無い
- 臭いの原因となるアンモニアが含まれていない場合は無臭
- おしっこをする時に痛みなどの自覚症状が無い
正常な尿の状態を知ることで、毎日の身体の変化に気付くことができます。
さっきした『おしっこ』はどんな色?臭いは??
自分の身体のサインを教えてくれている『おしっこ』をもう一度見直してみませんか?
2.おしっこで観察できるポイント
(1)色
健康な尿の色は、薄い黄色ですが、飲む水の量が少ないと茶褐色といわれる濃い尿がでます。
また、腎臓が悪くなると、血液が混ざり、赤やピンク色になることがあります。
腎臓の病気によってはコーヒーやコーラのような色になることもあり、このような色の尿が出た時は、すぐに病院を受診する必要があります。
(2)臭い
健康な時でも、尿は臭います。
気にならないなら、正常な尿と考えていいでしょう。
おしっこをした直後から、鼻を突くような臭いや悪臭がある場合、感染などの可能性が考えられます。
また、慢性腎不全を引き起こす糖尿病の場合、甘い匂いがすることがあります。
(3)あわあわ尿
男性が気づきやすい「あわあわ尿」
尿が泡立つ原因として、たんぱく尿があります。
立ったままおしっこをすると、泡が見られます。
すぐに消えるあわあわ尿は健康な尿と考えられますが、泡が消えないなどは、たんぱくが尿の中に流れ出ている可能性があります。
たんぱくは界面活性作用があり、尿の中のたんぱくが増えると尿が泡立ちます。
そんな時は、「泡がなかなか消えない」「細かい泡がある」などの尿が見られます。
また、飲水不足や汗が多い時などもこのような尿が見られるときがあります。
毎日おしっこを観察し、このようなあわあわ尿が一か月以上続く場合は、受診の必要があります。
(4)尿の回数
1日の尿の回数はその人により違い様々です。
また、1回にでる尿の量などにも違いがありますが、だいたい食事や水分を摂るタイミングなどによって、4時間に1回程度、おしっこをしていると考えられます。
1日に3回~9回くらいが1日の尿回数の目安になります。
(5)尿量
1回にコップ1杯程度、約200㎖ほどの尿がでます。
1日あたり1000~1500㎖、500㎖のペットボトル2~3本程度出ると考えられています。
おしっこは身体の中にある老廃物や水分・塩分を身体の外に出す役割をしています。
飲む水分の量などによって尿の量は変化しますが、500㎖以下/日に尿量が少なくなると、腎臓の機能に異常が起こっているのかもしれません。
このように、いつもしている尿を観察することで、様々な身体のサインを知ることができます。
おしっこをした時、流す前に自分の尿を見ていますか?
最近では、おしっこをした後に立ち上がると自動的に水が流れる機能のあるトイレも普及し、自分の尿を見ない人達が増えている気がします。
1日の尿回数や色、臭い、濁りの有無、排尿時の痛み。
また、1日の排尿回数や、1回に出る量などを観察することによって身体の異常を見つける事が出来ます。
また、尿の観察が習慣づくことによって腎臓の働きを知り、早期に治療につなげることができるようになります。
3.尿検査
検尿検査は、皆さんも聞いたことがあると思いますが、何を調べているの?と聞かれると、咄嗟に出てこないことはありませんか?
尿検査では、腎臓や泌尿器、糖尿病など尿に異常が出る病気を調べることができます。
具体的に調べるものとして
などがあり、腎臓の機能が低下すると、蛋白尿や血尿が出やすくなります。
激しい運動の後などは尿たんぱくなどが出る場合があり、必ずしも病気に結び付くとは限りません。
しかし、腎臓の病気は自覚症状のない場合が多く、詳しく調べることで、早期に異常を発見することができます。
おしっこがいつもと違うと感じたときは、是非尿検査をしてみてください。
また、子どもに起こりやすいネフローゼ症候群や糸球体腎炎なども、学校健診の尿検査で早期に発見することができます。子どもの学校の尿検査で異常があれば、早期に受診することをおすすめします。
2.腎臓の働きと役割やからだの変化
前回記事「透析と言われる前に起こる身体の変化」でもお話したように、腎臓は主にからだの中の【老廃物】や、余分な【水分】【塩分】をおしっことしてからだの外に出してくれる役割があります。
前回の記事
看護師がわかりやすく解説!透析と言われる前に起こる身体の変化 透析と言われたら①
・ずっと治療していた腎臓の働きが悪くなって、透析が必要になるかもと言われた ・職場検診で、高血圧や腎臓の働きがよくないと言われてドキッとした ・子どもが、学校…
腎臓の機能が低下することによって、水分や塩分が身体の中に溜まり、むくみを招きます。
腎臓は塩分を排泄するために、糸球体に過度な負担を与え、更に腎臓の機能が低下し、腎不全を悪化させてしまう恐れがあります。
また、血圧を調整する役割や、貧血の原因となる血液の中の赤血球を作る際に必要なホルモンのエリスロポエチンを作る大切な役割も担っています。
このように、腎臓の機能が落ちると、老廃物や余分な水分・塩分を身体の外に出せなくなるだけでなく、高血圧や貧血になるなど、様々な症状が現れます。
自覚症状が出にくいといわれる腎臓ですが、腎臓の機能が悪くなるとおしっこの量が少なくなり、むくみが出る他にも、血圧の上昇や貧血の症状である動機や息切れ、めまいや倦怠感などの症状が現れます。
3.水分制限と生活習慣
水分制限って何?
『腎臓の働きが悪くなってきているため、水分制限が必要です』
腎臓の機能が悪く定期的に受診をしていると、ある日先生からこんな言葉を告げられる日があります。
水分制限とは、1日に飲む水分量のことで、腎臓の働きが悪くなると制限する必要があります。
厚生労働省によると、成人が1日に必要とする水分量は約2.5Lと言われ、水分量が少ないことで『おしっこ』の量も少なくなります。
水分量が減ると、夏場などは脱水や熱中症のリスクも高まり、尿を出す事=必要な水分を摂ることも身体にとって大切なことといえます。
具体的には、健康な成人の場合、体重1kgにつき約35㎖が、1日に必要な水分量と言われています。
年齢などでも1日に必要な水分量は変わり、60歳で体重60kgの場合の必要な水分量は1.8Lになると言われています。
しかし、腎臓の機能が悪くなると、身体に溜まった水や塩分などを出すことが出来なくなるため、飲む水分量を減らすことで、身体の中にある水分を増やさない工夫をする必要が出てきます。
この方法として、利尿剤の内服の他に、飲み水を減らす選択が必要となります。
4.まとめ
日本腎臓学会の調査によると、国内で約1330万人と推定されている慢性腎不全(CKD)患者のうち、1年間で約3万8000人(4000人に1人)らが末期腎不全に陥り、透析療法を受けています。
腎不全に陥る前に、毎日している『おしっこ』が、あなたの身体の異常を教えてくれます。
毎日している『おしっこ』に隠れたからだのサイン!
色や泡、臭いを嗅いでおしっこに感謝!
自覚症状の出にくい腎臓の異常の早期発見ができる『おしっこ』を観察することで、いろんな身体の変化に気付くことができます。
また、子どもの成長に伴い、トイレが自立してできるようになくと、親が子どものおしっこを見る機会が減ってしまいます。それにより、子どもの頃になりやすい腎臓の病気を見落ちしがちになります。
子どもの時期に発症しやすい腎臓の病気として、ネフローゼ症候群や溶連菌感染後の合併症の腎炎などがあります。排泄の自立の前に、子どもにはおしっこやうんこの異常の見分け方を教えることは、自分の身体を知る大切な教育の1つだと思っています。
年齢に関わらず、1日でも長く健康で過ごす秘訣として、まずは簡単にできる『おしっこ』を観察してみませんか。
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この記事を書いた人
看護師:渡辺ひとみ
<経歴>
看護師歴36年
ICU・CCU・重度心身障障碍者病棟・透析病棟・訪問入浴・地域包括支援センター等
2021年 寄心合同会社設立
2022年 保育士資格習得
2023年 CIAA認定資格習得
現在 社会福祉士資格チャレンジ中
【きしんコーポレーション事業内容】
・保険外看護(個別レジリエンスサポート、外出・旅行支援等)
・居宅保育
・ヨガインストラクターによるヨガ講座・音浴療法 他
ひかりハートケア登録ナース
<執筆・講座実績>
・地域福祉会館ヨガ講座&看護・介護相談
・区民センター健康講座
・某友の会健康講座 等