前回の記事②
看護師が解説!脂肪肝②脂肪肝って、治るの?
前回、「1:脂肪肝には、痛みはない」ということについて、お話いたしました。 脂肪肝と診断されたとしても、「脂肪肝の場合には痛みはない」ということです。 今回は、…
前回、脂肪肝は治るのか?について、お話しました。
今回は、脂肪肝の「何が怖いのか?」について、お話します。
肝臓内科病棟で勤務していた時ですが、その当時に入院していた患者様達の病名を
ふと、思い出しました。
代表例
それぞれ、皆さんもよく聞いたことのある病名だと思います。
その当時、「脂肪肝」で入院して治療を受けている方は居ませんでした。
私が知りうる限り、脂肪肝という病名での入院患者様は居なかったのです。
それでは、脂肪肝で入院をすることはないのか・・・「脂肪肝」の病名が無くて、ホッとされましたか?
私も、そう思っていました。
「な~んだ、脂肪肝って、治療しなくても問題ないのね。」と、楽観的に考えていましたし、何も怖くないと思い込んでいました。
ところが・・・皆さんはご存知でしょうか?
入院するときの「病名」以外に、その病気になるまでにかかったこと(罹患と言います)のある病名がカルテには記載されているんです。
その、『今までに罹患したことのある病名を何歳頃に、どのような治療(手術など)をした』と記載されているものを「既往歴(きおうれき)」と言います。簡単に言うと、病気やけがの歴史です。
そのため看護師や医師、カルテを見ることのできる医療従事者は、その既往歴から今までにかかったことのある病名を見て、注意することなどを把握します。
例えば、
- 不眠症があるので、入院中は環境の変化で眠れなくなるかもしれない
- 怪我をして、手術歴があるから、検査などで気を付けることがある
肝臓内科の病棟に入院している患者様は、その既往歴に「脂肪肝」と、書かれている方が多いのです。
それは、現在進行形で、治療中の病名として記載されているのでした。
- 「肝臓がん」になって治療のために入院している患者様の既往歴には「脂肪肝」
- 「肝硬変」で治療している患者様の既往歴に「脂肪肝」
と記載がされますが、どのようなことなのでしょうか?
「脂肪肝」と診断されたことのある方が、肝臓がんや、肝硬変で入院して、治療をしているということは脂肪肝の成れの果てということになります。
脂肪肝は怖いものなのか、怖くないものなのか。
痛みもないし、治りそうだし
でも、怖くないけど、治療しないで、放っておいたら・・・怖いと感じるかもしれません。
例えば、癌とかになってしまったら・・・怖いものですよね。
怖くなくするには、どうすればよいのか。
脂肪肝に真っ向から向き合い、なくすために善処することが大事です。
そのため、真面目に治療しよう、治したいという方なら、脂肪肝なんて、怖くないものなのです。
脂肪肝は、生活習慣病のひとつです。
生活習慣が悪くて、皮下脂肪を蓄えすぎて脂肪肝になっている事がほとんどですから怖さを感じないようにするには、医師のアドバイスどおりに自分自身に真摯に向き合って、生活習慣や、食事内容を見直して、運動を取り入れ改善していきましょう。
どのようにして脂肪肝だと自覚するのか?
健康診断の結果で、外来に来られる方々が居ます。
大抵の方は健康診断で、数値に異常が出て「病院で再診してください。」と言われた方々です。
肝臓は痛みも、何も感じないので気づくことが難しいです。
健康診断よりも更に簡単に把握するには体重と体脂肪だと思います。
BMI指数をご存じでしょうか?
『BMI(Body Mass Index)はボディマス指数と呼ばれ、体重と身長から算出される肥満度を表す体格指数です。子供には別の指数が存在しますが、成人ではBMIが国際的な指標として用いられています。健康を維持するためは日頃からBMIを把握することが重要です。』
日本では、BMI 18.5~24までが健康を維持しやすい指標と言われていて、その数値を超えると徐々に脂肪肝へとつながると考えられているので、ここを維持できることが大事ということですね。
また、近年増えているNAFLDとは?
『飲酒歴が無い人、あるいはあまり飲酒しない人(男性30g/日、女性20g/日未満)のに、肝臓に脂肪が蓄積している状態を非アルコール性脂肪性肝疾患:NAFLD(nonalcoholic fatty liver disease)と言います。
原因としては、肥満、糖尿病、脂質異常症、高血圧といった生活習慣病だと言われています。
NAFLDの中には、肝臓内に脂肪沈着するのみの単純性脂肪肝でとどまる人もあれば、慢性炎症が引き起こされ、非アルコール性脂肪肝炎(nonalcoholic steatohepatitis:NASH)へと進展する人もいます。
このNASHの状態が持続すると、ウイルス性の慢性肝炎と同様に繊維化が進行し、肝硬変や肝癌が発生する危険性があるそうです。
このようなことが起きないように生活習慣を正して、食事内容を見直し体重管理に努めましょうね。
かくいう、私も2023年の年末からみぞおちから背中にかけての鈍い痛みで脂汗が出て、病院に行きました。
ここ三年ほど、健康診断を受けていなかったのですが、採決の結果肝機能の異常が指摘され、腹部のCT撮影では、「皮下脂肪が多いです。脂肪肝ですね」とお墨付きを頂きました。
みなさまも、私のようにならないようにお気を付けてくださいね。
この記事を書いた人
看護師:栗巣正子
<経歴>
看護師歴 23年
大阪府堺市で、50床~2000床の病院勤務(内科、外科、手術室、整形外科、療養病棟)。
離婚後、鹿児島県鹿屋市にて、老人保健施設、透析専門クリニックに勤務
大手生命保険会社に、営業主任として3年勤めた後、地域密着型の内科総合病院に17年(介護保険病棟、療養病棟、急性期病棟、心臓内科、腎臓内科、肝臓内科、消化器内科、呼吸器内科、腹膜透析、血液透析、外来、救急外来、訪問看護)勤める。
現在は、派遣ナース、非常勤での健診スタッフ、訪問看護指示書作成等の委託業務、ナース家政婦登録
<資格>
正看護師/普通自動車免許/大型自動車免許/けん引免許/たん吸引指導者/ペットセーバー/労災ホームヘルパー(A)