前回までに脂肪肝の怖さについて、皆さんに注意喚起も含めてお知らせしたくて、ここに書いてきましたが、私自身が、つい先日脂肪肝と診断を受けてしまいました。
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- 2023年12/24、みぞおちから背中にかけての鈍い痛みがあり、脂汗がでました。
15~20分ほどで治まり、そのままにしていました。
- 12/26にも、同じ痛みが二回あり、夕方には嘔吐しました。
あまりの痛みにこれは尋常ではない、何とかしなくては!と
翌日、病院受診し、腹部CTと血液検査を。CTでは、異常なしでしたが、
CTでは、特に異常はないですが、脂肪肝ですね。普通の女性よりも、皮下脂肪が多いです。
脂肪肝以外に異常はないですね。しかし、みぞおちの痛みなので、中の方は胃カメラ検査をしてみない事には、何とも・・・
人生初の胃カメラをすることになり、後日、ピロリ菌の検査までしてもらいましたが、異常なし。
異常なしと言われても、「みぞおちの痛みと背中にかけての鈍痛は明らかにおかしいのではないですか?」と、医師に詰め寄り、エコー検査をしてもらいその結果、小さな胆石が見つかりました。
そのため診断名は、胆石。
そして、肝機能の上昇が見られたので、脂肪肝。
立派に脂肪肝になりました。
22歳のころから徐々に体重は増え、妊娠や出産を経て年齢を追うごとに体重が増加していきました。
それをそのまま放置すると私のような脂肪肝になってしまいます。
皆さんも、気をつけましょう←全然、説得力ないですけど(笑)
さて、今回は、脂肪肝の最期についてです。
前回も少し、触れましたが脂肪肝は、肝臓の病気の初期症状です。
そのまま、放置していると肝炎や、肝硬変、果ては肝癌になるとお伝えしました。
絶対になるのか?というと、言いきれませんが(生活習慣を見直して、体調管理をしていれば治ります)確実に言えるのは、体には良く無い状態だということです。
まあ、分かりますよね。
当たり前です。肥満が体に良いわけないですもの。
さて、脂肪肝が治らなかった場合に、怖いものに変化した後どうなるのか。
怖い病名には以下があります。
それぞれが、脂肪肝からどう変化してゆくのか説明致します。
実際に外来患者様や入院患者様を看てきた中で、それぞれ生活習慣や、食生活、運動習慣に違いがあり、どれほどの経過で脂肪肝から肝炎になると、正確には言えないです。
この記事の目次
1.肝炎
脂肪肝は、中性脂肪が肝臓に過剰にたまった状態のことを言います。
そこに炎症と繊維化が起きた状態を、脂肪肝炎と言います。
肝炎は、「肝臓に炎症が起きている状態」です。
その種類はいくつかありますが(ウイルス性肝炎や、薬剤耐性肝炎、アルコール性肝炎、自己免疫性肝炎) 脂肪肝があると、それぞれの肝炎も起こりやすいと言えます。
何もない、健康な肝臓よりは、炎症を起こしやすいのです。
症状としては、全身の倦怠感、食欲不振、悪心・嘔吐、などがあります。
つまり、体がだるくなって動きたく無くなる、だるさに加えて食欲がなくなって元気がなくなります。
食べ物を吐いたり、吐気がしたり、食べ物を食べようと思っても受け付けなくなるのです。
入院患者様たちは、食事が摂れないので、まずは点滴です。
栄養と水分を補足する点滴に加え、炎症を抑える為の抗ウイルス剤や、抗菌剤などの抗生物質の入った点滴をします。
ずっと、点滴に繋がれているのでかなりのストレスに感じている方が多かったです。
2.肝硬変
肝臓に長く炎症が起こること(慢性肝炎)で、肝臓の組織が繊維化して硬くなったものを肝硬変と言います。
原因は、脂肪肝以外にも、B型肝炎ウイルス・C型肝炎ウイルス感染、アルコールの多飲、過剰な脂質の摂取や肥満、免疫の異常が生じる場合などがあります。
肝臓は、何らかの原因によって炎症が生じてダメージを受けても、軽度であれば元の状態に戻ることが可能です。しかし、肝硬変が進行すると元の状態に戻ることはなくなるのです。
元に戻ることが出来ないので、死に至る患者さんも多くなるのです。肝硬変で亡くなった方も多くいました・・・
3.肝がん
単純に、肝臓に発生した癌のことを肝癌と言います。ちなみに、他の臓器も同様です。
一般的に肝臓がんといわれるものは、もともと肝臓から発生した原発性のものをいうのです(他に転移性の物もありますが、ここでは省略します)
数10年前の肝臓がんは、B型、C型肝炎ウイルスを原因とするウイルス性肝炎を持つ方か、アルコール性肝硬変というお酒をたくさん飲む方の末期であることが殆どでした。
最近は、ウイルスでもない、アルコールも飲まない、という人の肝臓が脂肪化をきたし、(非アルコール性脂肪肝:NAFL)肝臓がんを発生する割合が増えてきています。
その割合は、施設(各専門病院など)によっては、3割以上がこの、非アルコール性脂肪肝が由来であるという報告もあるのです。
私の勤めていた、肝臓内科ではほとんどが、アルコール性の肝臓がんの方々でしたが、強く記憶に残っている方がいます。
ぽっちゃりした、かわいらしい感じの品のいい奥様でした。その方は、脂肪肝からの肝臓がんでした。
長く、入退院を繰り返して闘病されていました。痛いも、つらいも、あまり言われず、我慢されていましたが、最後の方は大きなお腹を支えるのが辛い様子で痛み止めを希望されることが多くなりました。肝臓がん、肝硬変の方の最期の特徴の一つに大きなお腹がありますが、これはまた次回。
脂肪肝と診断された友人の話をしましょう
脂肪肝の最期と言えば、悪いほうだけではないのです。
中性脂肪の正常値をご存じでしょうか?
正常値は『空腹時30~149mg/dL』ですが、この数値が正常範囲から大きく外れて高くなり、高い状態が持続すると、脂肪肝になります。
友人は実際にはこの数値が300mg/dL以上あったそうです。
当時、その友人は51歳(男性)。
職場の健康診断の採血結果で、異常値を指摘されました。
友人は、それほどお酒を飲む方でもなく、仕事は外仕事。食生活はちょっと偏っているくらいで、運動も特にしていなかったそうです。
病院での再検査で、脂肪肝を指摘され、生活習慣を注意されたことで、大反省しました。そして、病院からの指導の中で有酸素運動が良いと言われました。
仕事以外の時間に、自転車に乗るようになり、それから、半年間、毎日1~2時間 自転車に乗り中性脂肪は二桁になりました。
現在、友人は58歳です。今も趣味になった自転車に暇さえあれば乗り続けています。
有酸素運動を継続しているせいか、その他の血液検査も正常となっているようです。
この友人は、極端な例かもしれませんが、リアルに脂肪肝を撃退した方です。
私もこれくらいにならないといけないのかもしれません。
次回は、私が見てきた脂肪肝の最後についてお話したいと思います。
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この記事を書いた人
看護師:栗巣正子
<経歴>
看護師歴 23年
大阪府堺市で、50床~2000床の病院勤務(内科、外科、手術室、整形外科、療養病棟)。
離婚後、鹿児島県鹿屋市にて、老人保健施設、透析専門クリニックに勤務
大手生命保険会社に、営業主任として3年勤めた後、地域密着型の内科総合病院に17年(介護保険病棟、療養病棟、急性期病棟、心臓内科、腎臓内科、肝臓内科、消化器内科、呼吸器内科、腹膜透析、血液透析、外来、救急外来、訪問看護)勤める。
現在は、派遣ナース、非常勤での健診スタッフ、訪問看護指示書作成等の委託業務、ナース家政婦登録
<資格>
正看護師/普通自動車免許/大型自動車免許/けん引免許/たん吸引指導者/ペットセーバー/労災ホームヘルパー(A)