この記事の目次
はじめに
肩のコリや腰の痛みは、日常生活でよく経験する体の不調のひとつです。
その背景には、筋肉だけでなく「筋膜」の状態が深く関わっている可能性があります。
近年、筋膜へのアプローチにEMS機器を活用する方法が注目されています。
この記事では、「ボディケアに通う時間がない」「自分でケアする方法が分からない」という方にも取り入れやすい方法として、EMS機器の仕組みから実践のポイントまで解説していきます。
1.筋膜とEMS機器の関係
筋膜とは筋肉や骨、内臓などを包んでいる体全体をひとつにつなぐ薄い結合組織のことを言います。
この筋膜があることで、筋肉はスムーズに動き力が体全体に無駄なく伝わります。
更に、体の各組織を適切な位置で支える役割も果たしています。
しかし、長時間同じ姿勢になる、運動不足や偏った動作を続けていると筋膜の柔軟性が低下します。
更に、筋肉の動きも制限され、血流が悪くなることでコリや痛みが現れてきます。
EMS(Electrical Muscle Stimulation)は、電気刺激によって筋肉を収縮・弛緩させる技術です。
もともと医療・リハビリ分野で活用されていましたが、現在は家庭用機器として広く普及しています。
EMS機器を筋膜リリースに活用する最大のメリットは、自分の手では届きにくい部位にもアプローチできることです。
電気刺激による筋肉の収縮と弛緩の繰り返しが凝り固まった筋膜をほぐす働きをすると考えられています。
また、「ながらケア」として使えるため、忙しい日常のなかでも継続しやすいのも特徴の1つです。
2.EMS機器を使った筋膜リリースで期待できる効果
EMS機器を使った筋膜リリースを行うと、次のような効果が期待できます。
①コリや痛みの緩和
筋肉の収縮・弛緩が繰り返されることで、筋膜のツッパリやねじれがほぐれ、肩こりや腰の張りが和らぐことが期待できます。
私たちは仕事や家事・育児など普段の生活でも体に少なからず負担がかかっていることが多く、筋膜が硬くなりやすい状態になっています。
EMS機器による刺激は、そうした慢性的なこわばりへのアプローチとして活用されています。
②血行の促進
筋肉がポンプのように収縮・弛緩を繰り返すことで血流が改善され、老廃物の排出やむくみの解消につながります。
血行が滞ると、疲労物質が筋肉に溜まりやすくなり、コリや重だるさとして感じられます。
特に、長時間のデスクワークや立ち仕事では同じ筋肉に負担がかかり続けることで血液の流れが悪くなります。
EMS機器の刺激で血行不良を改善し筋肉の緊張を和らげることが期待できます。
③インナーマッスルへのアプローチ
EMS機器は普段の運動では、意識しにくい深い筋肉(インナーマッスル)にも刺激を与えることが出来ます。
インナーマッスルは姿勢を保ったり、関節を安定させたりするうえで重要な筋肉ですが意識して鍛えるのが難しい筋肉でもあります。
インナーマッスルが弱ることで、猫背や腰痛などを引き起こす可能性があるため継続的に鍛える必要があります。
毎日の筋肉トレーニングでは限界がありますが、EMS機器を使って「ながらトレーニング」を継続的に行うことで体のケアを行うことができます。
3.EMS機器の正しい使い方
パットタイプのEMS機器を使用する場合は、汗や油分・保湿クリームが肌に残っていると電気がうまく伝わりません。
使用前に、パットを貼る部分をタオルなどでふき取ることをおすすめします。
パットやローラー部分は痛みや凝っている部分の中心に合わせるのが基本です。
位置がずれていると効果が薄いと感じるほかに、もみ返しを起こす可能性があります。
①部位別アプローチ
・肩や首回り
デスクワークや長時間のスマートフォンの使用で、特にコリやすい部位です。
特に、肩甲骨周りの筋肉~首にかけて広い範囲での痛みやコリが出てくるため日々のケアが必要になってくる部分です。
肩甲骨周りの筋肉を中心にパットを当てて、弱めの強度でゆっくりほぐすのが効果的です。
首は大きな血管や、重要な神経が通っているため、少しの刺激でも敏感に感じやすく、特に最初は弱い強度から始めて、様子を見ながら調節することをおすすめします。
使用中は、頭や首を無理に動かさず、リラックスした姿勢で行うのがポイントです
・腰
腰は姿勢を保つために必要な部位です。力仕事や中腰の姿勢での作業を続けていると痛みが出てくることがあります。
凝っているのはその周囲の筋肉です。
腰の骨の両脇の筋肉に直接パットを当てるようにします。
使用時の姿勢は、仰向けに寝た状態や、椅子に座った状態で行っても大丈夫です。
・ふくらはぎ・太もも
長時間の立ち仕事や運動後のケアに適しています。
むくみや疲れが溜まりやすいふくらはぎは、ポンプ作用を促す低めの強度がおすすめです。
座った状態でふくらはぎにパットを当てて足首をゆっくり動かしながら行うと血行促進の効果を感じやすくなります。
太もも前面や太もも後面にも使用でき、運動後のクールダウンとしても活用できます。
②もみ返しについて
EMS機器を使い始めによく起きやすいのがもみ返しです。
筋肉痛に似た痛みや張りを感じ、悩みであるコリや痛みが悪化したように感じます。
多くの場合は、1~2日で落ち着きますがもみ返しによる痛みやコリがつらく、ケアをやめてしまう人もいます。
もみ返しの原因は、普段使われていない筋肉が電気信号によって動かされたことで起こる反応です。
もみ返しがあるということは、電気の刺激が強すぎる可能性があります。
まずは、弱めの刺激から始めてください。
更に、筋肉の疲労物質が排泄されやすくするためにケアを始める前に水分を多めに取ることも大切です。
もみ返しを防ぐために意識したいこと
・初回は短時間・弱い強度で始める
・同じ部位を連日強く刺激しない
・使用後は軽いストレッチと水分補給を行う
だるさや痛みが数日たっても改善しない場合や強い痛みが伴う場合は使用を中止し医師や専門家へ相談することをおすすめします。
③使用を避ける場合について
次に該当する方は、使用前に必ず医師に相談してください。
・ペースメーカーなどの医療機器を体内に埋め込んでいる方
・妊娠中・またはその可能性のある方
・心疾患・悪性腫瘍のある方
・下肢深部静脈血栓や静脈炎がある方
・糖尿病などによる感覚障害がある方
・皮膚に傷や炎症がある場合
このほか、発熱や体調が優れないときも使用は控えたほうがいいでしょう。
4.おわりに
EMS機器を使った筋膜リリースは、手が届きにくい部位のケアや日常生活の隙間に取り入れやすいセルフケアとして注目されています。
その反面、使い方を誤るともみ返しなどせっかくのリラクゼーションが台無しになる可能性があるため正しい方法で使用することでセルフケアの効果を最大限に引き出すことができます。
コリや痛みは、私たちの生活に少なからず影響を与えます。
健やかな生活を送るために、日常の中の隙間時間を使ってご自身の身体を労わってあげてください。
この記事を書いた人
大竹 加代子
大阪在住。身内の死をきっかけに、よりよい生き方を社会に広めたいと思い看護師となる。
整形外科・外科・脳外科・内科・循環器の急性期病棟を経て、回復期リハビリテーション病棟・地域包括ケア病棟へ勤務・現在に至る。
現役看護師として医療に携わる一方、こころの健康が身体の健康に及ぼす影響を実感し、こころと身体の健康を取り扱う看護師Wellnessナースとしてメンタルケア・認知科学の学びをすすめながら、適応障害の人のための電話相談やセミナー開催に向け取り組んでいる。
《経歴》
看護師歴25年
プロコミュニケーター
NLPマスタープラクティショナー
一般社団法人 日本ナースオーブ所属 Wellnessナース
保険外訪問看護 看取り対話師
《執筆》
株式会社 ELAN 様
看護師が解説!高齢者の骨折予防
看護師監修 介護側の食事指導
note 女性の適応障害に適応するブログ
《講座》
Wellnessチャートで賢くやせる/ウェルネス講座