本当に必要な「終活」とは?(後編)

本当に必要な終活とは(前編)」では、残されたご家族が困らないよう「どこにどんな財産を持っていた」のか、財産目録の代わりになる手軽な「終活ファイル」を準備することをおすすめしました。

後編では、具体的な内容や役立つ場面についてお伝えします。

本当に必要な「終活」とは?(後編)
目次

こんなにも役立つカード類のコピー

エンディングノートにも財産目録を記載できるようになっています。
 
預貯金の欄には「金融機関名・支店名・店番号・口座種類・口座番号・名義人」、有価証券(株式・投資信託・公共債など)の欄には「証券会社名・店名・口座番号・銘柄・株数・名義人・価格」などの項目が書いてあります。
ご自身の資産を洗い出して、これらの項目を全部書き出すのは結構大変です。

そもそも実際に相続手続きをする場合に、これらの情報の全部が必要なわけではありません。
預貯金や有価証券であれば、残高や銘柄がわからなくても、取引のある銀行名や証券会社名と支店名がわかれば、残高証明書を取ることで全取引が明らかになります。

財産目録を作成するよりも、もっと簡単な方法があります。それがカード類のコピーです。
銀行や証券会社のキャッシュカードには、「金融機関名・店番号・口座番号・名義」が記載されています。
裏面には、連絡先の「電話番号」まで載っています。
わざわざ財産目録を作るまでもなく、ここに全部の情報が載っていますので、これをコピーしましょう。

ご自身のお財布にはキャッシュカード以外にも、クレジットカード、健康保険証、運転免許証、スポーツクラブなどの会員証、病院の診察券などが入っていると思います。
 
これら全部をコピー機に並べてコピーしましょう。
 
もちろん裏面もです。
 
このコピーを終活ファイルに保管するのです。

これらは、万一のときの支払停止・利用停止などに利用できます。
また、病院の診察券の中でも、特に歯科診療所の診察券は大事です。
あまり想像したくないことですが、事件や事故・災害などで死亡した場合に、歯型のX線写真や治療記録が身元確認に役立つことがあります。お守り代わりに備えておくのも良いでしょう。

カード類をコピーしておくメリットは、死後の手続きだけではありません。
財布をどこかへ紛失した場合でも、そのコピーがあれば、すぐに銀行やカード会社へ連絡して、カードが使われないように手続きすることができます。さらに、財布にどんなカードが入っているのか全部覚えている人は少ないでしょうから、何を紛失したのかがわかるだけでも少し安心です。

保険・年金・不動産の情報も

カード類と同じように「財産の手掛かり」となるものに、生命保険証書などの保険関係の書類、年金手帳などの年金関係の書類、登記済権利証などの不動産関係の書類があります。
中でも、生命保険(死亡保険)は死亡した時に備えて準備しておいたものですから、確実に見つかるようにしておきたいものです。
死亡すると金融機関は支払停止の手続きを取り、預貯金をすぐに引き出すのは難しくなります。
しかし、生命保険は死亡の証明(死亡診断書や除籍謄本など)を提示すれば、数日で死亡保険金が支払われ、葬儀費用の支払いや当面の生活費に充てられることができますので非常にありがたいものです。

年金の支給を受けている場合は支給停止の手続きが必要ですし、逆に遺族年金を請求する場合には年金手帳があれば手続きが円滑になります。
不動産の権利証(最近は登記識別情報)は、相続登記の際にあると便利です。
また、将来不動産を売却するときでも、権利証が無いと追加の手続きが必要となりますので、確実に引き継いでおきたいところです。

財産目録を作成するよりも、もっと簡単な方法がカード類のコピー

できれば葬儀関係の書類も

もし、葬儀社の互助会(積み立て)に加入している場合は、その会員証を入れておくと良いでしょう。ただし、互助会は葬儀費用が割安になる等のメリットがある一方で、互助会の破綻リスクもありますので、これから加入される方は慎重に検討しましょう。
また、遺影用の写真も入れておくと、ご家族があわてて写真を選ぶ必要がありません。なにより、自分でお気に入りの写真を祭壇に飾ることができます。

遺言書や各種契約書について

遺言書を書かれている方は、その遺言書をどこに保管されているのでしょうか。
公正証書遺言(公証人が作成する遺言書)は原本が公証役場に保管されますが、その所在がわからないとずっと保管されたままで使われません。
公正証書遺言を作成すると、その謄本が公証人から渡されますので、それを終活ファイルに入れておきましょう。謄本で遺言執行の手続きが可能です。

自筆証書遺言(自分で手書きする遺言書)の場合、遺言書をそのまま終活ファイルに入れても良いのですが、原本はその1通しかないので少し心配です。そこでおすすめなのが、法務局に自筆証書遺言を預ける方法です。法務局へ預けると「保管証」が交付されますので、それを終活ファイルに入れましょう。
法務局の保管制度を利用するメリットには、

  1. 紛失リスクがない
  2. 形式要件(全文自署・署名・押印・日付)を法務局でチェック
  3. わずか3900円の手数料で保管してもらえる
  4. 家庭裁判所での検認が不要
  5. 遺言者本人による保管が確認できる
  6. 法務局から相続人らへ通知する仕組みがある

などがあります。

任意後見契約や死後事務委任契約などをされている方は、その契約書(またはそのコピー)を入れておくと、ご家族が契約の存在に気付きやすいでしょう。
また、借り入れ(借金・ローン)や保証債務(連帯保証など)がある場合は、債務承継の際に重要な情報となりますので、その契約書や保証書などを終活ファイルに保管しておきましょう。

オンライン取引や定額制サービスも

最近は、ネット銀行やネット証券と取引されている方も多くなりました。これらの取引はパソコンの中で完結するので便利ですが、カードも通帳もなく、取引残高報告書などのお知らせが郵送されることもほぼありません。そのため、取引画面をコピーして終活ファイルに保管するなど物理的な資料を残す工夫が必要です。

また、音楽・映画・雑誌・ゲームなどのサブスクリプション(定額制)サービスも注意が必要です。
契約者が死亡したことを家族が伝えても、解約に対応してもらえず、課金され続けるケースが多いようです。
最終的には、クレジットカードや引落口座を解約することで課金できなくなりますが、死亡した本人になり代わってIDとパスワードで解約する方法もあります。
サービス名・ID・パスワードを書いたメモを封緘して、終活ファイルに入れておくのもいいかもしれません。

このように終活ファイルを活用することで、手軽に有効な終活が可能となります。まずは、クリアファイルを準備するところから始めてみませんか。


この記事を書いた人

齋藤 弘道(さいとう ひろみち)

<プロフィール>
遺贈寄附推進機構 代表取締役
全国レガシーギフト協会 理事

信託銀行にて1500件以上の相続トラブルと1万件以上の遺言の受託審査に対応。
遺贈寄付の希望者の意思が実現されない課題を解決するため、2014年に弁護士・税理士らとともに勉強会を立ち上げた(後の全国レガシーギフト協会)。
2018年に遺贈寄附推進機構株式会社を設立。
日本初の「遺言代用信託による寄付」を金融機関と共同開発。


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