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ポリファーマシーは何が問題?薬の重複・副作用・飲み合わせの落とし穴

ポリファーマシーとは、単に薬の数が多いことではありません。複数の薬を使用することによって、効果効能の重複、副作用、飲み合わせ、飲み間違いなどの問題が起きている、または起きやすくなっている状態をいいます。
薬が多くても、すべてに必要性があり、安全に使用できていれば、必ずしも問題とは限りません。
反対に、薬が少なくても、同じ成分が重なっていたり、組み合わせによって危険が生じたりする場合は注意が必要です。
この記事では、主に「薬の重複」「副作用」「飲み合わせ」の3つについてお伝えします。

この記事の目次

1. 薬の重複~名前が違っても、同じ成分や作用が重なることがある~

薬の重複とは、同じ成分を含む薬や、似た働きをする薬を複数使用している状態です。

薬には、同じ成分でも異なる商品名が付けられていることがあります。先に発売された薬とジェネリック医薬品では名前が違ったり、病院から処方された薬と市販薬に同じ成分が含まれていたりする場合もあります。

例えば、病院から痛み止めを処方されている人が、市販の風邪薬や頭痛薬を追加すると、解熱鎮痛成分が重なることがあります。本人は別の薬を飲んでいるつもりでも、同じような成分を二重に摂取していることになります。

同じ作用の薬が重なると、薬が効きすぎたり、副作用が出やすくなったりします。

例えば、

血圧を下げる薬が重なり、めまいや立ちくらみが起こる

眠気が出る薬が重なり、強い眠気やふらつきが起こる

血液を固まりにくくする作用が重なり、出血しやすくなる

痛み止めが重なり、胃や腎臓に負担がかかる

といった問題です。

ただし、医師が治療上必要と判断し、同じような作用の薬を組み合わせることもあります。問題なのは、医師が把握しないまま、意図せず薬が重なっている場合です。

重複は飲み薬だけに起こるものではありません。

貼り薬、塗り薬、目薬、吸入薬などにも同じ成分や似た作用が含まれていることがあります。

また、以前処方された薬が自宅に残っているからといって、現在の薬に追加して飲むことも危険です。症状が同じに見えても、原因が同じとは限りません。家族の薬をもらって使用することも避けてください。

2. 副作用~治療に必要な作用とは別の不調が起こることがある~

副作用とは、薬を使用したときに現れる、治療の目的とは異なる望ましくない作用です。

例えば、

痛み止めで胃が痛くなる

アレルギー薬や風邪薬で眠くなる

血圧の薬で立ちくらみが起こる

抗菌薬で下痢や発疹が出る

睡眠薬の眠気が翌朝まで残る

といったことがあります。

副作用は、薬を間違って使ったときだけに起こるものではありません。医師や薬剤師の指示どおりに使用していても、体質や体調によって現れることがあります。

薬の効き方には個人差があります。同じ薬を同じ量使用しても、副作用が出る人と出ない人がいます。また、以前は問題なく使えていた薬でも、体調の変化、脱水、肝臓や腎臓の機能低下などによって、影響が強く出ることがあります。

副作用の問題は、薬が原因だと気づきにくいことです。眠気、めまい、だるさ、食欲低下、便秘、下痢、頭痛、むくみ、発疹、口の渇きなどは、疲れや病気の悪化でも起こります。

そのため、副作用が「体調が悪いだけ」「別の病気が始まった」と受け取られることがあります。

さらに、副作用を別の症状だと考え、その症状を抑えるための薬が追加されることがあります。

例えば、薬による便秘に便秘薬が追加される、薬による胃の不快感に胃薬が追加される、といった場合です。

原因となっている薬が見直されないまま薬が増えると、さらに別の副作用につながることがあります。

副作用は、生活にも影響します。強い眠気や注意力低下は、運転や仕事に支障をきたします。ふらつきは転倒につながり、口の渇きや食欲低下は食事にも影響します。

また、まれではありますが、呼吸困難、意識障害、重いアレルギー反応、肝臓や腎臓の障害、重い皮膚症状などが起こることもあります。

薬を始めた後や、量を変更した後に新しい症状が出た場合は、病気だけでなく、薬の影響も考える必要があります。

3. 飲み合わせ~薬どうしや食品によって、薬の効き方が変わる~

飲み合わせとは、薬と薬、または薬と食品などが互いに影響し、薬の効き方が変わることです。これを相互作用といいます。

飲み合わせによって起こる問題は、大きく二つあります。

一つは、薬が効きすぎることです。薬が体内で分解されにくくなったり、同じ作用が重なったりすると、副作用が強く出ることがあります。

もう一つは、薬の効果が弱くなることです。薬が十分に吸収されなかったり、体内で早く分解されたりすると、必要な治療効果が得られないことがあります。

よく知られている例に、次のようなものがあります。

1) ワルファリンと納豆

ワルファリンは、血液を固まりにくくする薬です。納豆に多く含まれるビタミンKなどの影響により、ワルファリンの効果が弱くなることがあります。

その結果、血栓を防ぐ効果が十分に得られなくなる可能性があります。薬を飲む時間と納豆を食べる時間をずらせばよいというものではありません。

ただし、血液を固まりにくくする薬すべてが、納豆の影響を受けるわけではありません。

2) 一部の血圧の薬とグレープフルーツ

グレープフルーツは、一部の薬を体内で分解する働きに影響します。その結果、薬が体内に多く残り、効きすぎることがあります。

一部の血圧の薬では、血圧が下がりすぎて、めまいやふらつきが起こることがあります。

ただし、すべての血圧の薬が影響を受けるわけではありません。

3) 眠気が出る薬とアルコール

睡眠薬、抗不安薬、アレルギー薬、風邪薬などとアルコールを一緒に摂ると、眠気やふらつき、判断力の低下が強くなることがあります。

転倒や交通事故につながるほか、薬によっては意識低下や呼吸への影響が起こる可能性もあります。

4) 薬とサプリメント

鉄、カルシウム、マグネシウムなどのサプリメントは、一部の薬の吸収を妨げることがあります。

また、セント・ジョーンズ・ワートなどの健康食品によって、一部の薬が早く分解され、効果が弱くなることもあります。

「食品」「健康食品」「自然由来」と書かれていても、薬に影響しないとは限りません。

いずれの飲み合わせの問題は、服用時間をずらせば解決する場合もありますが、時間を空けても影響が続くものもあります。自己判断で飲む時間を変更せず、薬剤師に確認することが必要です。

4. 薬を安全に使うために

薬の重複、副作用、飲み合わせを防ぐには、医師や薬剤師に、現在使用しているものをすべて伝えることが重要です。

伝えるものには、処方薬だけでなく、

市販薬

サプリメント

健康食品

貼り薬や塗り薬

目薬や吸入薬

日常的な飲酒

も含まれます。

また、複数の医療機関や薬局を利用している場合は、お薬手帳を一冊にまとめ、毎回提示します。

その他、新しい薬を始めた時期、薬の量が変わった時期、体調が変化した時期を記録しておくと、薬との関係を確認しやすくなります。

医師や薬剤師には、

「この薬は何のために飲んでいますか」

「同じような薬はありませんか」

「最近の眠気やふらつきは、薬と関係がありますか」

「市販薬やサプリメントと一緒に使えますか」

と具体的に確認します。

ポリファーマシーへの対応は、薬を減らすことだけが目的ではありません。

必要な薬を、必要な量で、安全に使えているかを確認することが大切です。

副作用や飲み合わせが心配でも、薬は自己判断で中止せず、医師または薬剤師に相談してください。

5. まとめ

・名前が違っていても、同じ成分や似た作用の薬が重なると、薬が効きすぎたり、副作用が出やすくなったりします。

・薬は正しく使っていても、治療目的とは別に眠気やふらつき、胃の不調などが現れることがあります。

・薬どうしや食品、サプリメントなどの影響で、薬が効きすぎたり、反対に効きにくくなったりすることがあります。

・処方薬だけでなく、市販薬やサプリメントも含めて使用中のものを医師や薬剤師に伝え、自己判断で追加・中止しないことが大切です。

この記事を書いた人

看護師:山田かおり 経歴〉 看護師経験 32年(内分泌代謝・循環器内科病棟、外科混合病棟、高齢者施設で勤務) 看護教員養成研修 修了  認定看護師教育課程(認知症看護) 修了  医療安全管理者養成研修 修了  認定看護管理者制度 ファーストレベル・セカンドレベル教育課程 修了 〈講座〉  認知症ケアに関する講座 多数  未来をつくるkaigoカフェ 「つづけるカフェ」隔月開催(現在休止中)

ヤマダ カオリ

〈プロフィール〉
親に勧められ、自分が希望する心理学への道をあきらめ、看護学校に入学し、病院に就職する。周りの同期のように看護が楽しいと感じられず、私のしたいこととは違うと思い続け、「看護師は向いていない」と悩みながら3年間 病院で勤務後、退職する。事務職に転職しようとパソコンや簿記を学ぶが、25歳では事務職への転職は難しく、生活のために看護師に復帰する。

復帰後はマンネリ化した機能別業務に、再度「看護師は向いていない」と感じる日々が続いていた頃、関連病院で病床数増床のため看護師を募集していることを知り、心機一転すれば看護の楽しさがわかるのではと思い、異動を希望し、上京する。上京した病院で、自宅で最期を迎えたいと希望する患者や家族への退院指導の難しさと充実感を知り、新人教育担当として新人看護師が日々成長していく姿に励まされ、5S活動やQCサークル活動を通じて業務改善に手ごたえを感じるなど、看護師を続けたいと思えるようになった。それからは、自分の興味の赴くままに学びを深め、特に認知症に関する知識や技術を身につけ、「その人の行動の意味することは何か、生活歴を通して気づく看護の楽しさ」を伝えたいと思うようになった。
現在は、「看護が楽しい」と感じる仲間を増やしたくて、看護学校で看護教員をしている。

〈経歴〉
看護師経験 32年(内分泌代謝・循環器内科病棟、外科混合病棟、高齢者施設で勤務)
看護教員養成研修 修了
認定看護師教育課程(認知症看護) 修了
医療安全管理者養成研修 修了
認定看護管理者制度 ファーストレベル・セカンドレベル教育課程 修了

〈講座〉
認知症ケアに関する講座 多数
未来をつくるkaigoカフェ 「つづけるカフェ」隔月開催(現在休止中)

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