目次

看護師が解説!介護施設の選び方⑤24時間安心の有料老人ホーム

有料老人ホームという施設をご存知の方は多いと思います。
今回介護施設の選び方、最終の記事では、24時間安心の有料老人ホームについてお伝えします。

実際に入居されるとなると条件やメリット・デメリットが気になると思います。終の住みかとなりうる有料老人ホームについてお伝えしていきます。

この記事の目次

1. 有料老人ホームってどんなところ?

有料老人ホームってどんなところ

有料老人ホームは高齢の方が最後まで住みやすいように生活できる「住みか」となるところです。
イメージとしては、”介護が必要になっても最後までその人らしく暮らせるマンション”というイメージです。

介護とは食事、洗濯などの生活支援、入浴や排泄などの身体支援、リハビリなどになります。
そして介護職員や看護師を設置する決まりがあります。
少子高齢化で在宅での生活が困難、もしくは要介護になることを見越して入居される方もおられます。

2.需要が高くなっている有料老人ホーム

需要が高くなっている有料老人ホーム

有料老人ホームの数は年々増えており、数ある入居施設の中で最も多く令和4年10月時点で17,327施設あります。平成27年時点では10,651施設だったので比較すると年々増加しているのがわかります。
前年度(令和3年)と比較しても603施設増えています。

同じ日常生活の世話、機能訓練、療養上の世話を行う施設として軽費老人ホーム(ケアハウス)特別養護老人ホームがあります。
それぞれの施設数を比較すると、特別養護老人ホーム13,768施設軽費老人ホーム(ケアハウス)2,330施設(どれも令和4年のデータ)となっており、有料老人ホームの需要の高さがわかります。
65歳以上の高齢者の人数は年々増えており、総務省が毎年敬老の日に統計を発表しています。

令和3年度は3,623万人、29.1%と過去最高となっています。

80歳以上の方は前年比27万人増の1,259万人で、初めて「10人に1人」に達しています。
日本の人口動態から見ても、これからますます需要は高くなっていくと思います。

3.有料老人ホームの種類を紹介します

有料老人ホームの種類について

有料老人ホームは大きく分けると「健康型」「介護付」「住宅型」の3つのタイプがあります。
それぞれのタイプや入居条件についてお伝えします。

①健康型

介護を必要としない自立した方向けとなります。
身の回りのことはご自身でできる高齢者が充実したシニアライフを送るための設備が整っています。自立、もしくは要支援の方が入居されます。食事や洗濯代行サービスなどを受けられます。
ただ介護が必要な状態になると退去となります。
また一般的に入居一時金や利用料は高い傾向にあります。

②介護付

24時間スタッフが常駐し、掃除や洗濯などの生活支援・食事や入浴などの身体支援が受けられる施設のことです。

入居年齢は65歳以上からとなります。
要支援1から入居可能で、介護サービスは施設スタッフが行います。
介護費用に関しては要介護度で決まり、利用内容に関わらず一定となります。

③住宅型

住宅型が介護付きと異なる点は自立の方も入居可能となっています。
もし介護状態になれば外部の介護サービス(訪問介護や通所サービスなど)を受けることになります。
介護サービス料金は、介護付きは一定金額なのに対して、住宅型は介護度と利用する介護サービスで異なってきます。

受ける介護サービスが少なければ安くなり、多ければ高くなります。
入居年齢は60歳以上からで、配置スタッフは施設長1名のみ決まっていますが、他は介護付きのように看護職や介護職員の配置に決まりはありません。

介護が必要になれば近隣の事業所から訪問となります。

ただ施設の特徴として医療やリハビリに力を入れている施設であれば、看護師や理学療法士などのリハビリスタッフが常駐していることもあります。

4. 軽費老人ホーム(ケアハウス)・特別養護老人ホームとの違い

経費老人ホーム(ケアハウス)と特別養護老人ホームの違い

冒頭で少し紹介しましたが、似ているサービスに軽費老人ホーム(ケアハウス)、特別養護老人ホームがあります。どちらとも介護サービスを提供する施設になります。この施設と有料老人ホームとの違いをご紹介します。まず、軽費老人ホーム(ケアハウス)、特別養護老人ホームともに公的施設のため費用が安くなっています

①軽費老人ホーム(ケアハウス)

社会福祉法人や自治体が運営する福祉施設になります。
入居条件は生活に不安のある方、要支援までの方で基本的にほぼ自立した方が対象となります。要介護の状態の方は入居対象外となります。
身体介護(排泄や入浴)はご自身でできる方となります。また種類によっては食事提供がない施設形態もあります。基本的には個室ですが、それ以外のお風呂やトイレは共同スペースとなります。

60歳以上の方が対象で、月収が34万以下という条件があります。

②特別養護老人ホーム

こちらも「終の住みか」の選択肢としてあげられます。24時間介護サービスを受けられますが、有料老人ホームと異なるところは、要介護3以上の方という条件があります。
ただし家族からの虐待が疑われる、知的・精神障害があり生活が困難な場合など、特例が認められるケースもあります。

看護師が24時間常駐しているわけではないので医療ケアに限界があります。
また入居の待ち時間がとても長く数ヶ月から年単位で入居を待つ方もおられます。

5.有料老人ホームの3ヶ月ルールをご存知ですか?

有料老人ホームの3ヶ月ルールについて

入居してみたけど様々な理由で退去を考慮することがあります。例えば以下のような例です。

  • 他入居者の認知症悪化による暴力・暴言がみられる
  • 病状悪化により長期入院となるケース
  • なんらかの医療的ケア(胃瘻や夜間の吸引など)が必要となったが看護師が24時間常駐していない施設で対応困難となった場合

などが考えられます。入居から3ヶ月以内であれば入居金の全額を返金してもらえる「特別解約特例制度」があります。全額ではなく家賃の実費分だけは精算が必要となりますが、入居一時金を返還することが法制化されました。また施設独自のルールを設けているところもあるので、契約時によく把握しておく必要があります。

6.ご自身に合った施設の探し方

施設の探し方

実際の有料老人ホームの探し方をご紹介します。ご自身がどこまでサービスを求めているか、施設設備の充実度、医療ケアの満足度、配置スタッフによる手厚いケアなどご自身や家族の求めているものを明確にしておく必要があります。

施設側も特徴として医療ケア・リハビリ体制強化をメリットとしているところもあります。
医療ケアが将来必要になりそう・希望するのであれば24時間看護師が常駐する施設がよいでしょう。

また介護スタッフは3人の入居者に対して1人が最低基準となっています。
スタッフの数が多いほど手厚い介護サービスが受けられます。
施設の雰囲気・食事内容・お部屋の環境・入浴など実際施設を使ってみないと不明なところは体験入所を行なっている施設もあります。
1泊や3泊などできる施設もあるので実際利用になってみて体験してみるのがよいでしょう。

7.まとめ

終の住みかとなる有料老人ホームについて紹介させていただきました。

24時間安心して最後まで生活できる場所を選ぶために、ご自身が今後どのような人生を歩まれるのかをイメージしながら選んでいくと良い施設に巡り会えるのではないでしょうか。

参考文献
◆令和4年社会福祉施設等調査/政府統計の総合窓口(e-stat) 2024年データ
◆令和4年度特別養護老人ホームの入所申込者数について/健康福祉局医療介護保険課(R5年1月)

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この記事を書いた人

山川さちえ 看護師経験 15 年(訪問看護2年、管理者1年) がんで余命半年の親を看取った看護師の経験/ウェルネス講座(2023 年) 誰でもわかる/退院前から介護利用までの 50 のチェックリスト作成

山川さちえ
<プロフィール>
病棟勤務14年。手術や抗がん剤治療など癌治療を受けられる多くの癌患者様に関わる。ICU配属中に、実母が肺癌ステージ4と告知を受ける。在宅での療養生活を見越し、訪問看護へ転職。同時期に事業所管理者となり、母の療養生活を支える。訪問看護でも、自宅療養の癌患者様に多く関わる。ダブルワークで働く中、母の在宅看取りを経験。自身の経験から癌患者様、介護中のご家族様が安心できる療養生活を過ごせるよう、介護空間コーディネーターとして、複数メディアで記事執筆、講座を行う。
<経歴>
看護師経験16年(消化器・乳腺外科、呼吸器・循環器内科・ICU/訪問看護・管理者)
自費訪問 ひかりハートケア登録ナース
(一社)日本ナースオーブ ウェルネスナース
<執筆・講座>
株式会社キタイエ様
「暮らしの中の安心サポーター“ナース家政婦さん”」
「ほっよかった。受診付き添いに安心を提供。”受診のともちゃん”」他
「がんで余命半年の親を看取った看護師の経験/ウェルネス講座」
「退院前から介護利用までの50のチェックリスト/note」

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