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僻地医療④ 病院に頼らない 離島、僻地生活の心得

僻地医療④ 病院に頼らない 離島、僻地生活の心得

離島へき地は医療資源が少ないため、生活の注意点を理解し健康管理することが大切です。

また、自然災害が招くアクシデントが多いと予測される為、不測の事態に対応できる準備が必要になってきます。

どのような準備が必要なのか確認していきましょう。

この記事の目次

1,応急処置を習得する必要性

日本赤十字社は2022年、全国1,200名の男女を対象に一次救命処置に関する認知や行動、社会情勢を背景とした意識変化などを把握する調査を実施しました。

その結果によると国民の8割が「一時救命処置が出来ることは必要」、一方で50%を超える人が「何をすれば良いか分からず、特に何もしていない」と行動に移せていないという結果でした。

一次救命処置を実践できることの必要性について考えるようになったきっかけは以下の通りです。

・交通事故(62.1%)
・レジャーや運動中の事故(42.8%)
・地震や豪雨などの自然災害(33.6%)

救急車やドクターヘリなどの活用は出来たとしても、目の前で心肺停止した人を救命する為には迅速な対応が求められます。

心肺停止後3~5分後で脳に酸素がいかなくなり、脳死にいたると言われています。

脳は心肺停止後1分で機能停止し4分で脳に蓄えられていた酸素を使い果たし、心肺停止後15分で脳の損傷が始まるとされています。

心肺停止後15分以降で、たとえ蘇生出来たとしても麻痺などの後遺症が残るそうです。

救急車の現場到着所要時間は平均8.5分です。離島へき地はそれ以上時間がかかることが予測されます。

また、救急車から病院へ収容されるまでの所要時間は平均39.3分となっています。

これも離島へき地だとより長い時間がかかると予測され、救急隊が駆けつけるまでの一次救命が重要になってくる事がお分かりいただけると思います。

毎年のようにレジャーの事故や自然災害のニュースを目にします。

自然と共に暮らす離島へき地の方は都会に住む方より自然災害について考え、備えをする必要性を求められているのではないでしょうか。

応急処置や救命処置に至るまで自ら学び習得しようとする姿勢も大切です。

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2,住民とのネットワークを大切にする

災害や緊急事態には住民同士の協力や支え合いが大切です。

安心、安全な生活を送る為には話し合いの機会を多く持ち、問題解決する事が共通の課題になります。

都会ではグループLINEなどで情報伝達を済ませてしまいがちですが、情報が行き渡るように実際に会って情報共有する事をお勧めします。

実際に会う事で課題が具体的になり共同で活動を行うきっかけにもなり結束も深まります。

例えば、緊急時の対応を想定した訓練を行ったり、お互いの顔と名前が認知されるようにバザーなどを開いたりするのも良いでしょう。

結束が深まれば、行政や医療機関へ改善策や緊急時のネットワーク強化などの申し出も行いやすくなります。

救急時の手技、傷の処置、一次救命を学び合う環境が作れるかもしれません。

結束を深め、効果的な行動を起こす為には個々がお互いを尊重し、理解し合おうとする姿勢が大切になります。

積極的なコミュニケーション、関わりを意識する事を忘れないようにしましょう。

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3,医薬品や生活用品の備蓄

医薬品

離島へき地は薬局が遠くて中々行くことが出来ないと予想されます。

常備薬を準備しておくことをお勧めします。

また、災害時などは受診が長期間出来ない可能性もあるので定期的な処方をしてもらい薬が切れないようにすることも大切です。

定期処方以外で必要だと思われるものを「救急箱」として下記を準備しましょう。

【1】傷の手当物品

①絆創膏(サイズや形状の異なるもの)
②包帯やガーゼ
③ハサミ、ピンセット

【2】医薬品

①解熱鎮痛剤
②胃腸薬
③絆創膏や抗菌軟膏
④風邪薬、咳止め

【3】体調確認する為の物品

①血圧計、体温計
②準備が可能ならパルスオキシメーター

【4】緊急時連絡先のメモ

携帯電話の充電が切れる可能性、110番・119 番は焦っていると分からなくなる事もありますのでメモをしておきましょう。

①家族や近隣の緊急連絡先
②健康保険証、お薬手帳
③かかりつけ医の連絡先、110番、119番

救急箱を定期的に点検し、使用期限が迫る前に交換補充する事も忘れないようにしましょう。

その他、ティッシュ、ハンカチ、タオルなども救急箱の中にあると応急処置時などに便利です。

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生活用品

①飲み水:ペットボトルに入っている飲料水
②非常食:エネルギーバーや缶詰、保存食など
③布団や寝具:キャンプ用の寝具は持ち運びが便利
④衛生用品:トイレットペーパー、ティッシュペーパー、生理用品
⑤簡易トイレ用品:ビニール袋、消臭剤など
⑥予備の電池と充電式バッテリー
⑦ガスボンベ、灯油の予備

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4,自然の摂理に従う

離島で暮らしていた頃、夏から秋にかけて毎年大型台風が上陸しその度に万全の準備をして停電や物資供給が途絶える事を予測し備蓄する事を心がけていました。

幸いにも自然災害で非難する事はありませんでしたが、島民が事故に巻き込まれた事があります。

例えば台風時は風速50メートル近い突風が吹くこともあります。
安易に外に出ると風に吹き飛ばされ大怪我をされるケースもあります。

骨折や怪我だけではなく脊髄損傷といって神経が麻痺し、日常生活が不自由になる事もあります。

また、観光業やレジャー業をされる方は自然界で生きる生物に命を脅かされる事も多々あります。

自然は、人間が生活する上で必要な資源を提供してくれる反面、時に猛威を振るうことがあります。
これぐらいの雨風は大丈夫だろうという過信は危険です。

10年近い離島生活で得た事は自然に敬意を払い、謙虚に暮らす事が大切だということです。

そして共に暮らす生物や植物の事を知り、向き合い、上手に活用する事が離島へき地で暮らす一番大切な心得なのだと感じます。

僻地医療④ 病院に頼らない 離島、僻地生活の心得

5、まとめ

近年、レジャーの事故や自然災害が多くなっています。

山間部や離島に限ったことではありませんが、どこに住んでいても緊急事態は想定しておくことが大切です。

離島へき地は危険と隣り合わせと思われるかもしれませんが、近隣住民と協力し助け合おうとする気持ちがより深い絆に変わり、その場所で暮らす事の意義も大きくなります。

自分の身体や健康、命は出来る限り自分で守るという姿勢を持ち、日々自然と共に生きている事に喜びを感じ感謝の気持ちで過ごす事が大切なのではないでしょうか。


この記事を書いた人

看護師:郷堀有里夏

郷堀有里夏

<プロフィール>

看護師経験30年。急性期病棟やICUを10年経験した後、施設看護や訪問看護、ケアマネジャーとして多くの介護を必要とする方々やそのご家族と関わる。

県外で勤務していた頃、母親が介護状態となり地元へ帰省する。

仕事と介護と自分の人生に悩んでいた頃、認知科学を学ぶ。

学びを通してわだかまりのあった親子間や家族間の葛藤を解消し、介護中に修復する事が出来た。そして、母親を施設から引き取り家族と共に在宅看取りを行うことが出来た。

自身の経験を通して、「健やかに自分らしく生きること」や「安心して介護や看取りが行える環境づくり」が重要だと感じ、心の介護専門家として講座やお話会を通じ情報を提供している。

<経歴、職歴>

(一社)日本ナースオーブ所属 Wellnessナース

看護師経験30年(訪問看護管理者、施設看護、介護支援専門員、救急センター、ICU)

保険外自費サポート ひかりハートケア登録ナース

<講座>

親にイライラしない介護コミュニケーション/ウェルネス講座

<その他の活動>

心から看る介護と認知症のお話会

後悔しない親の介護 / ブログ

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著者の Facebook
https://www.facebook.com/yurina.gohori/

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