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服薬管理① 薬の飲み忘れを防止する5つの工夫!

慢性的な病気を持っている高齢者にとって服薬はとても大切な習慣です

しかし、病気によっては難しい服用方法、週に1回だけの服用と、管理が難しい薬もあるため、高齢者や家族を悩ませる問題になっています。

長年、薬を自己管理していた高齢者が、介護サービスを始めて利用した際に、実は管理が出来ていなかったということがあります。

ポケットの中から数日前の日付の薬が出てきた、皮膚に貼る貼付薬の日付が数日前になっていたなど、高齢者は家族が知らない間に薬を管理する能力が低下していることがあります。

薬は病気を治療する効果がありますが、誤った飲み方、使用方法を続けているとせっかくの薬も害になってしまいます。

そこで今回は、私が在宅看護で実践していた高齢者が薬の飲み忘れを予防する工夫を5つお伝えします。認知症になると家族が介入しづらいこともありますが、これらの方法を参考にして頂けると介護の負担も軽減できると思います。

この記事の目次

1.空き箱や薬ケースを使用する

処方された薬を自己管理されている高齢者の中にはシートのままだと服用したか、途中でわからなくなったということもあると思います。最終的に診察の前になってから、数が合わずに重複して服用していた、ということもよくあります。

このような高齢者は空き箱や薬ケースに分けておくと管理しやすいと思います。1週間分の薬を曜日、朝・昼・夕・眠前と服用する回数に応じて大きさを選び仕切りを付けて保管すると飲み忘れがありません。飲み忘れがないように、目の付きやすいテーブルの上いておくと良いでしょう。

箱は菓子箱が丈夫で便利ですが、仕切りをつくる手間がいります。今は百円ショップで様々な仕切り付きのケースが購入できます。

また、吸入器はトレイや容器に入れて目に見えるところに置いておく、貼り薬は日にちを書いてトレイに並べて置くといった方法もあります。

2.お薬カレンダーを使用する

お薬カレンダーには様々な種類がありますが、壁にかけるタイプのカレンダーにポケットが付いており、日付や曜日、タイミングごとに薬を分けてお薬を入れることができます。

ポケットが透明なので日付が分かりやすく、日付や曜日、服用時間が理解できる高齢者には便利です。

私が在宅訪問で伺った時には通常の壁掛けカレンダーに一包化された薬を日付のところにテープで貼り付けていた高齢者がおられました。朝食後のみの一日一回であればそのような方法も便利ですね。

3薬局に相談する

服用するお薬の錠数が多ければ多いほど、飲み間違いが多くなりがちです。また、一錠ずつ取り出すのが面倒になって、取り出しているうちに服用したかを忘れてしまうこともありえます。このようなことを防ぐために、薬局には薬の一包化というサービスがあります。

① 一包化とは?

服用するタイミングが同じ薬を一回分ずつ袋にまとめることです。薬局に相談すると、処方した医師に薬剤師が了解をとったうえで一包化を行います。薬の種類が違っても複数でも1包化は可能です。

すでに処方されている薬でも一包化にすることが出来ますので、一度薬局に相談してみると良いでしょう。

② 一包化の利点

一包化された薬はハサミを使わなくても開けることができるため、指先を動かしにくい高齢者でも安心です。薬の錠数が多い高齢者にとっては一つ一つ取り出す手間が省けて飲み違いを防ぐことができます。また、氏名や日付け、服用するタイミングが印字されているため、服用する前に間違いがないかを確認ができます。

③ 一包化できない薬もある

薬の種類によっては遮光が必要なものや吸湿性が高いものがあるため、一包化に向いていない薬もあります。また、便の形状を軟らかくする酸化マグネシウムを一包化すると、排便が柔らかい時や下痢の時にも一緒に服用してしまう可能性があります。排便の形状について調整が必要な場合は、便秘薬は一包化しない方が良い場合があります。

④ 使用期限について

一包化する場合は一度薬をシートから取り出して外気に触れるため、開封されていない状態より服用期限が短くなります。但し、処方された期間内に服用すれば問題はありません。

➄ 料金について

加入する医療保険によって多少異なる場合があるため、詳しくは薬局に確認する必要があります。

例としてあげると、1か月分の薬を一包化した場合は一割負担であれば160円程度ですが3割負担になると480円になります。

4.医師に相談する

日中ひとりで家にいることはできるけれど、お薬の管理が難しくなったという高齢者のかたもたくさんおられます。家族が仕事に行く前に薬を服用できたら確認ができるのに…というご家族は、一度薬を処方された医師に相談してみることをお勧めします。

例えば、通常であれば毎食後の薬を家族のいる朝にまとめる、朝食後の薬をヘルパー訪問の昼食後にするなど、服用する時間帯に問題がなければ服用時間を家族の都合に合わせることも可能です。

服用時間が決まっている薬もあるため、すべてが可能というわけではありませんが、親身に相談にのってくれますので「どうかな?」と思ったら、一度お話してみると良いでしょう。

5.介護保険サービスを利用する

介護保険サービスは、市町村の認定を受けて、介護が必要と判断された高齢者や一定の条件を満たした方が、訪問介護、訪問看護や通所介護などのサービスを受けられるものです。担当のケアマネジャーが自宅を訪問し、高齢者の生活に合った介護サービスを高齢者本人と、家族と一緒に相談して選択していきます。

その中で、お薬の管理が難しくなってきたという生活の問題に対して様々な介護サービスを組み合わせていきます。

例えば、訪問看護はお薬カレンダーに1週間分の薬をセットしてくれます。そして、次の訪問時に服用できているかを確認しますが、服用できていない場合は、ケアマネジャーや医師と情報交換を行い、原因にそった次の対策を考えていきます。

私が担当した事例では、訪問看護師がお薬カレンダーのセットした薬を朝に訪問したヘルパーが服薬介助を担うことがありました。

また、デイサービスやショートステイを利用しながら薬の管理が出来ているかを確認することもあります。このように「薬の管理が出来ているか心配」「床に薬が落ちていることが多くなった」という家族からの話で介護サービスにつながる場合もあります。

また、高齢者本人や家族が薬局に薬を取りにいけない場合は一定の条件はありますが、薬剤師が訪問して薬を届けるサービスもありますので担当のケアマネジャーに相談すると良いと思います。

6.まとめ

高齢者のほとんどが慢性疾患を持っており、その中でも症状が悪化した方の多くが、処方された薬を正しく服用できていなかったと、私は在宅看護に携わる看護師として感じています。在宅看護では、関わる人々が知恵を出し合って薬を正しく服用できるように工夫をしていますが、現代はスマートフォンのアプリ機能や、機械や装置も開発されています。

高齢者や家族の変化に合わせて時代に合った方法を選択していくと、お互い服薬に関するストレスを軽減し、より良い関係性につながるのではないかと思います。


この記事を書いた人

福井三賀子 <プロフィール> 小児内科、外科、整形外科の外来と病棟勤務で看護の基本を学ぶ。 同病院の夜間救急ではアルコール中毒、火傷、外傷性ショックや吐血、脳疾患など多くの救急医療を経験。 結婚後は介護保険サービス事業所で勤務しながらケアマネジャーの資格を取得。6年間在宅支援をするなかで、利用者の緊急事態に家族の立ち場で関わる。 在宅支援をしている時に、介護者である娘や妻の介護によるストレスが社会的な問題に発展していることに気づき、心の仕組みついて学びを深めると同時に更年期の女性について探求を始める。 現在は施設看護師として入居者の健康維持に努めながら50代女性対象の執筆活動やお話会、講座を開講している。 <経歴> 看護師経験20年。 外来、病棟(小児・内科・外科・整形・救急外来) 介護保険(デイサービス・訪問入浴・訪問看護・老人保健施設・特別養護老人ホーム) 介護支援専門員6年 <資格> 看護師/NLPマスタープロテクショナー/プロコミニュケーター <活動> 講座「更年期は黄金期」 ブログ「幸せな更年期への道のり」 メルマガ「50代女性が自律するためのブログ」 スタンドFMラジオ「幸せな更年期への道のり」

福井三賀子

<プロフィール>
小児内科、外科、整形外科の外来と病棟勤務で看護の基本を学ぶ。
同病院の夜間救急ではアルコール中毒、火傷、外傷性ショックや吐血、脳疾患など多くの救急医療を経験。

結婚後は介護保険サービス事業所で勤務しながらケアマネジャーの資格を取得。6年間在宅支援をするなかで、利用者の緊急事態に家族の立ち場で関わる。

在宅支援をしている時に、介護者である娘や妻の介護によるストレスが社会的な問題に発展していることに気づき、心の仕組みついて学びを深めると同時に更年期の女性について探求を始める。
現在は施設看護師として入居者の健康維持に努めながら50代女性対象の執筆活動やお話会、講座を開講している。

<経歴>
看護師経験20年。
外来、病棟(小児・内科・外科・整形・救急外来)
介護保険(デイサービス・訪問入浴・訪問看護・老人保健施設・特別養護老人ホーム)
介護支援専門員6年

<資格>
看護師/NLPマスタープロテクショナー/プロコミニュケーター

<活動>
講座「更年期は黄金期」
ブログ「幸せな更年期への道のり」
メルマガ「50代女性が自律するためのブログ」
スタンドFMラジオ「幸せな更年期への道のり」
動画配信YouTube「看護師mikakoの更年期チャンネル」

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