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看護師が解説!介護施設の選び方③小規模多機能型居宅介護

介護保険で使えるサービスはたくさん種類がありますが、「小規模多機能居宅型介護」は初めて聞く方も多いかもしれません。

介護が必要になった時は、「介護が必要になったときに最初にする手続きはなに?」という記事に、介護保険申請についてお話しています。ご参照ください。

要介護認定の申請を行い、認定結果が通知されると、介護保険サービスを利用することができます

本記事では、介護保険で利用できるサービスのうち、小規模多機能居宅型介護についてお伝えします。

この記事の目次

1.介護保険で利用できるサービスとは

介護保険は在宅での介護(デイサービスや訪問介護など)、施設での介護(特別養護老人ホーム、老人保健施設など)で利用できるサービスです。

今回紹介する小規模多機能型居宅介護は、在宅で利用できるサービスの中の「地域密着型サービス」に位置づけされています。
高齢者が住み慣れた地域で安心して生活ができるように、住んでいる地域ごとに支援するサービスです

もともと他のサービスを利用していて、小規模多機能型居宅介護を希望する場合は、担当ケアマネジャーへ相談します。
今までサービスを利用していない場合は、包括支援センターに相談します。

2.小規模多機能型居宅介護について

介護保険では、小規模多機能型居宅介護は以下のような定義となっています。

1.目的

  • 地域の拠点となる事業所で提供する「通い」「訪問」、短期間の「宿泊」を利用しながら、可能な限り住み慣れた居宅で自立した生活を継続する。
  • 家庭的な環境と地域住民との交流の下でサービスを提供する。
  • 3つのサービス(「通い」「訪問」、短期間の「宿泊」)の柔軟な組み合わせを通じて、地域の方の協力を得ながら、利用者が希望する生活を構築する

小規模多機能型居宅介護は、

  • デイサービスと同じ「通所」
  • 自宅にヘルパーが来てくれる「訪問介護」
  • 短期間施設に宿泊するショートステイと同じ「宿泊」
    3つのサービスを組み合わせて利用することができます。

2.メリット

(1)「通い」「訪問」「宿泊」とも同じ施設からのサービス提供

通い、訪問、宿泊のサービスで、24時間365日、切れ目のないサービスを受けることができます。
全てのサービスは同じ施設内の職員により提供されるため、どのサービスを利用しても同じ職員が対応してくれます。利用者が通いなれたところで安心してサービスを受けることができます。

(2)自由な利用方法

通い小規模多機能型居宅介護の施設に通う、「デイサービス」と同じようなサービスですが、1日滞在する、午前だけ、午後だけ、など、利用時間もその都度選ぶことが出来ます。
「今日は午後から家族と病院受診だから、午前中で帰ります」ということもできます。
訪問小規模多機能型居宅介護の施設に通う、「デイサービス」と同じようなサービスですが、1日滞在する、午前だけ、午後だけ、など、利用時間もその都度選ぶことが出来ます。
「今日は午後から家族と病院受診だから、午前中で帰ります」ということもできます。
宿泊 小規模多機能型居宅介護施設に泊まれるサービスです。
(同じようなサービスで「ショートステイ」があります。)

例えば、予定では施設へ「通い」の予定でしたが、体調不良でキャンセルになった場合。
デイサービス利用だとサービスが休みになるだけですが、小規模多機能型居宅介護ですと、ヘルパー訪問に切り替えることができます。
ヘルパーが自宅へ訪問し、体調確認もできますし、買い物代行ですぐに食べられるものを購入して届けることもできます。この訪問は1回だけではなく、利用者の状態に合わせて何度でも訪問することが可能です。

他、同居の家族に急な予定が入ってしまった場合。利用者が一人で過ごすことが難しい場合は、宿泊に切り替えることも可能です。実際に利用していた方の例を紹介します

【Aさん 80代男性、長女と二人暮らし】

認知症の他、パーキンソン症候群という体が動かしにくくなる疾患も持ち、転倒しやすい方でした。
同居の長女は多忙で、朝早くに出勤し、帰宅はいつも19時ころでした。

普段は月~土曜、8時30分から18時まで、「通い」を利用していました。

<8時20分 送迎>
8時20分頃、送迎車が自宅に到着。
小規模多機能型居宅介護の施設で「通い」のサービスを利用するため、送迎車に乗り施設に向かう。

<施設での活動>
施設内で入浴、他の利用者との体操や、レクリエーションなど活動に参加する。

<18時頃 送迎>
・施設で作った夕食をお弁当に詰めたものを持ち帰る。(自宅で夕食として食べる)送迎車で帰宅する。
・送迎した職員が自宅内まで付き添い、オムツ交換、パジャマに着替え等の介護を受ける。
・リビングのソファに誘導してもらい、持ち帰った弁当の温め、配膳してもらう。
 (家族が帰宅するまでの時間、安全に過ごせるよう、食事の提供や安全な環境を整えている)

<長女に急な予定が入った場合>
・予定は18時に帰宅するところを、「宿泊」に切り替えた。
・夜間は施設の2階の部屋に宿泊。
 次の日の予定も「通い」のため、1階で過ごし、18時に送迎にて帰宅した。

(3)1か月の利用料が決まっている

介護度(要支援1~要介護5の7段階)によって1か月の利用料(単位数)が決まっています。

※1単位≒10円ですが、お住まいの地域によって変動します。

介護度単位数
要支援13,438単位
要支援26,948単位
要介護110,423単位
要介護215,328単位
要介護322,283単位
要介護424,593単位
要介護527,117単位
※宿泊費、食費、日常生活費は別途自己負担となります。

3.デメリット

(1)小規模多機能型居宅介護以外に併用できるサービスが限られている

小規模多機能型居宅介護を利用中は、自宅に看護師、リハビリテーションを提供する療法士が来てくれる「訪問看護」と、介護ベッドや車いすをレンタルできる「福祉用具の貸与」のみ利用できます。

小規模多機能型居宅介護では看護師配置が義務付けられていますが、施設内で医療処置を提供する目的での配置ではないため、施設で医療処置を受けることはできません。
そのため「訪問看護」のサービスを併用される利用者もいます。
(ここでは詳細は省略しますが、小規模多機能型居宅介護を希望で、何らかの医療的処置が必要な方には「看護小規模多機能型居宅介護」というサービスもあります)

歩行器、車いす、手すり、特殊寝台、介護用品

(2)部分的に事業所を変えることはできない

「通い」「訪問」「宿泊」全てを同一事業所で受けるため、「宿泊だけ他の事業所を利用する」というように、部分的に事業所を変更することはできません。

(3)ケアマネジャーの変更をしなければならない

小規模多機能型居宅介護を利用する際、小規模多機能型居宅介護施設に在籍しているケアマネジャーが担当になります。
いままで他のサービスを利用していた方は、ケアマネジャーの変更をすることになります。

4.利用者の特徴

一人暮らしの高齢者、介護の必要な高齢夫婦など、高齢者のみの世帯、認知症のある高齢者で、柔軟な対応が必要とされる人たちが想定されます。

一人で食事の準備や買い物、入浴などの日常生活を送るのに支障があっても、だれかの助けや見守りがあればできる、という人が多く利用しています。

3.まとめ

本記事では、介護保険において小規模多機能型居宅介護がどんな事業所なのか、というところから、メリット、デメリットをまとめました。

みなさんがこの記事で小規模多機能型居宅介護について少しでも知ることができれば幸いです。

次回は「ショートステイ」について、詳しくお伝えしていきます。



この記事を書いた人

菅原真樹 看護師歴20年超。病棟、外来、施設等で看護師として勤務。2009年~2021年訪問看護に携わり、訪問看ステーション管理者やステーション立ち上げにも関わる。2022年からは地域の相談業務を経て、現在は介護認定調査員として働く。空き時間にはフリーで自費訪問を行っている。 看護師経験20年超。(消化器・整形・口腔外科・一般内科病棟/デイサービス・小規模多機能・グループホーム等/訪問看護・管理者) 自費訪問 ひかりハートケア登録ナース

菅原真樹

<プロフィール>
看護師歴20年超。
病棟、外来、施設等で看護師として勤務。
2009年~2021年訪問看護に携わり、訪問看ステーション管理者やステーション立ち上げにも関わる。
2022年からは地域の相談業務を経て、現在は介護認定調査員として働く。
空き時間にはフリーで自費訪問を行っている。

<経歴>
看護師経験20年超。
(消化器・整形・口腔外科・一般内科病棟/デイサービス・小規模多機能・グループホーム等/訪問看護・管理者)
自費訪問 ひかりハートケア登録ナース

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