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遺言代用信託による寄付について

遺贈寄付には、

  1. 遺言による寄付
  2. 契約(死因贈与・生命保険・信託)にいよる寄付
  3. 相続財産の寄付

があります。

前回は、「信託による寄付」のうち、「公益信託」と「特定寄附信託」についてご説明しました。

今回は「遺言代用信託」についてご紹介します。

遺言代用信託による寄付について
遺言代用信託による寄付について
この記事の目次

遺言代用信託の仕組みと現状

まず、一般的な遺言代用信託について解説します。

遺言代用信託も、他の信託と同じように

・委託者(財産を託す人)
・受託者(財産を管理する人)
・受益者(財産を受ける人)

この三者の関係によって成立しています。

ただ、遺言代用信託では「委託者兼第一受益者」とし、ご家族等を「第二受益者」(または残余財産の帰属権利者)に指定するところが特徴です。
これは、委託者が生存中は、委託者が信託財産の運用益等を受け取り、委託者が死亡した時にご家族等が信託財産を受け取るようにするためです。

<遺言代用信託の仕組み>

遺言代用信託による寄付について
遺言代用信託の仕組み(信託協会より)

信託した財産は、委託者(ご本人)の財産ではなく受託者(信託銀行等)名義の財産となって本人の財産から切り離されますので、委託者が死亡した時でも信託財産は委託者の相続財産ではありません。

遺言や遺産分割協議は相続財産について効力を発揮するものですので、信託財産は遺言や遺産分割協議の影響を受けることなく、信託契約のとおりに第二受益者に交付されます。
これが「信託は遺言に優先する」と言われる理由です。

また、遺言や遺産分割協議による相続手続とも関係ありませんので、死亡時に相続財産が凍結されても、速やかに信託による支払いが実行されることも便利な特徴です。

こうした利点から、葬儀費用の支払い準備資金等として幅広く利用されており、2022年9月末時点で累計203,727件(信託協会集計)が受託されています。

単純な比較はできませんが、同じ時点での遺言信託による遺言書保管件数は177,372件(信託協会集計)ですので、これを上回る件数です。

遺言信託は昭和の時代から存在していますが、後発の遺言代用信託が追い抜いた形です。

それだけ、遺言代用信託は利便性に優れ、多くの利用者に受入れられています。

<遺言信託と遺言代用信託の受託件数の比較>

遺言代用信託による寄付について
信託協会のデータより作図)

その一方で、第二受益者は委託者の家族等に限定されており、非営利団体を指定できないため、遺言代用信託を遺贈寄付に活用することはできませんでした。

遺贈寄付への活用

遺言信託以上に多く利用されている遺言代用信託は寄付に活用できませんでしたが、2019年10月にオリックス銀行が自治体を寄付先とした「かんたん相続信託〈遺贈寄附特約〉」を発売し、日本初の「遺言代用信託による寄付」を実現しました。

さらに、2020年10月には、京都大学iPS細胞研究財団を寄付先とした「かんたん相続信託<iPS財団遺贈寄附特約>」を発売しています。

その後、三井住友信託銀行、十六銀行、南都銀行、りそな銀行なども、同様の商品を取り扱い始めています。

遺言による寄付との違い

「遺言代用信託による寄付」は「遺言による寄付」に比べて以下のメリットとデメリットがあります。

遺言代用信託による寄付

メリット

  • 手続きが簡単
  • 必ず寄付が実現(中途解約しない限り)
  • 費用が無料、または少額

デメリット

  • 生前に財産の移動が必要
  • 信託財産は金銭のみ
  • 想いを伝える手段がない

遺言による寄付

メリット

  • 生前に財産の移動は不要
  • 不動産なども対象にできる
  • 付言事項に想いを書ける

デメリット

  • 遺言書の作成が必要
  • 遺言作成後の財産減少等で遺贈寄付できないこともある
  • ある程度費用がかかる

「遺言代用信託による寄付」「遺言による寄付」それぞれの特徴を生かして、寄付の目的や財産内容に応じて使い分けると良いでしょう。

例えば、比較的少額の金銭を手軽に遺贈寄付したい場合は「遺言代用信託による寄付」、保有財産全体について将来の財産変動も考慮しながら配分を定める場合には「遺言による寄付」という使い方もできます。

遺言代用信託による寄付の具体的な利用例

「今後の生活もあるので、今は寄付できないけれど、自分が死ぬ時に残ったお金なら寄付しても良い」というご意見を伺います。
これを実現するには遺言を書くのが一番なのですが、「遺言は面倒」と言われます。

このような方にこそ、遺言代用信託はオススメです。

将来の生活や万一の病気などに備えて、日常の生活費とは別に、預貯金をある程度蓄えている方も多いのではないでしょうか。

この預貯金を遺言代用信託に「預けて」おくのです。
信託した資金は自分(委託者)の財産ではなくなりますが、中途解約可能な遺言代用信託を取扱う銀行もありますので、元本保証で中途解約できるのであればあかたも預貯金のように「預ける」感覚で信託することができます。
もし必要な時には解約して資金を取り戻すこともできますし、何もなければ亡くなった時に寄付が実行されます。

ご自身の将来の生活に備えながら、手軽に社会貢献もできる「遺言代用信託による寄付」。
一度ご検討されてはいかがでしょうか。


この記事を書いた人

齋藤 弘道(さいとう ひろみち) 遺贈寄附推進機構 代表取締役 全国レガシーギフト協会 理事

齋藤 弘道(さいとう ひろみち)

<プロフィール>
遺贈寄附推進機構 代表取締役
全国レガシーギフト協会 理事

信託銀行にて1500件以上の相続トラブルと1万件以上の遺言の受託審査に対応。
遺贈寄付の希望者の意思が実現されない課題を解決するため、2014年に弁護士・税理士らとともに勉強会を立ち上げた(後の全国レガシーギフト協会)。
2018年に遺贈寄附推進機構株式会社を設立。
日本初の「遺言代用信託による寄付」を金融機関と共同開発。

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